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ピルについて

ピルについて、2013年に大騒ぎになりました。
本ブログでも、その当時何度か触れました。ご存じない方もいらっしゃるかもしれませんので、簡単に復習しておくと、低用量ピルを内服している最中は血栓症を発症するリスクが上昇するのですが、その血栓症による可能性がある死亡例が相次いで起こり、社会問題化したのですね。

ピルは、上手に使うと女性のQOLを著しく上昇させる可能性のある薬なのですが、一方で決して多くはないのですが死亡例を含む副作用が報告されている薬剤でもあるわけです。
僕もピルを頻用するのですが、僕自身が処方した方で血栓症を起こされた方は(僕が把握している限りでは)今のところいらっしゃいません。
でも、総合病院勤務時代には、血栓症を起こして搬送されて来た方を何度か拝見したことがあるのも事実です。

そんな中、どうやら、日本産科婦人科学会がピルに関するガイドラインを出すようです。ざっと読んでみると、やはり血栓症に関する内容が多いですね(F 静脈血栓塞栓症、H 禁忌、慎重投与、中止症例など)。

で、このガイドラインはまだ案の段階ですが、僕が見て「おお!」と思ったのは、実はこの一文です。
えっと、このPDFの126ページ目。
「1.OC/LEP 開始前」の中のこの文章です。

「従って、ACHES 症状を認めれば、処方医師を受診するように患者に勧める」

同然のように見えるこの文章ですが、
処方医師を受診するように患者に勧める」
これ、意外に大きな一文です。
自身の処方には全責任を負うのは医師として当然なのですが、ピルを処方するのは、多くは開業医なのですね。
当然ですが、「ACHES 症状」なんて、もちろん24時間365日いつでも起こりえます。
ピル処方を受けている方は、緊急時夜間休日、処方医と連絡取れますか?
処方医師を受診できますか?

一方で、救急病院の立場から見ると「出し逃げ」、つまり処方するだけして責任は取らない、という姿勢はどうにも腑に落ちない、という感情は当然湧いても不思議ではないわけです。

そんなわけで
「ピルください」「はいどうぞ」
の裏には、結構根深い問題が潜んでいるわけです。

この件に限らずなのですが、いろんな面でやっぱりもっともっと病診連携が機能するようになり、地域医療が成熟する必要があり、病院-診療所間の「風通し」がよくなることが大事だと思うわけです。
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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