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月経不順の不妊患者に対してどの程度の検査を行うべきなのか?(2)

タイムリーにも、昨日、まさに「月経不順の排卵誘発しただけ妊娠」の方がいらっしゃいました。
(ちょっとだけ卵管因子のスクリーニングをさせていただいちゃいましたが(汗))
おめでとうございます!



続き。

【Results】
今回の検討に適合したのは、9つの研究である。
〔クロミフェンによる排卵誘発を第一選択として開始する前〕
<精液検査>
精液検査を行っている検討の結果では、753人中3人が無精子症であった(0.3%)。
精液検査異常はは4-10%に認められた。
<卵管通過性検査>
839人の無排卵周期女性に対する検討報告があり、その結果、両側通過障害を認めたのは4%であった。
抗クラミジア抗体は711人中33人(5%)が陽性であった。

〔クロミフェンによる排卵誘発で妊娠成立せず、第二選択の治療に移るとき〕
<精液検査>
この段階で精液検査を行っている報告はない。
<卵管通過性検査>
この段階では、120人の女性に対する検討報告がある。それによると、片側卵管閉塞は16人(13%)、両側卵管閉塞は10人(8%)であった。
他にも、この段階で「骨盤内病変」を認めたものが24-37%という報告がある。

〔クロミフェン抵抗性の場合〕
<精液検査>
この段階で精液検査を行っている報告はない。
<卵管通過性検査>
この段階で卵管通過性検査を行っている報告はない。

【Discussion】
  • 今回の検討の結果、PCO患者が第一選択であるクロミフェン療法を行う段階では、10%の男性因子があり、0.3%は無精子症でる。また両側卵管閉塞を認めたのは3-4%であった。
  • また、このクロミフェン療法で妊娠に至らず、第二選択の治療を選択する際では、8-9%の両側卵管閉塞を認めた。
  • 一方で、正常に排卵している不妊女性の場合、精液検査異常は59%、無精子症/高度乏精子症は8-17%、両側卵管閉塞は6-8%とされている。
  • 今回の検討からは、「エビデンス」と呼べるほどのものの構築は困難であるが、排卵誘発を始める前の検査は精液検査のみでよいのではないかと考える。
  • そして、クロミフェンによる排卵誘発を行ってもなお妊娠に至らず、第二選択の治療に移るとき、またはクロミフェン抵抗性の場合に、卵管通過性の検索を行えばよいと考える。


ということでした。
つまり、

「月経周期が順調なのに不妊」のケースと「月経不順があり不妊」のケースでは、他の不妊因子(男性因子と卵管因子)を有している確率は全く違う。
(当たり前ですが)「月経周期が順調なのに不妊」のケースの方が、ほかの因子を有している確率が圧倒的に高い。


というわけです。
そして、

「月経不順があり不妊」のケースでは、ほかの検査をする前に、まず誘発を初めて、何より排卵を確保しなさいな。
そうこうしているうちに、妊娠してしまうことが多い。
排卵をきちんと起こしても、なお妊娠に至らないなら、そこから(卵管因子を)検査すればいいよ。
ただし、精液検査だけはやっておこうね。(←非侵襲検査だからね)


というわけです。

「私不妊です!」
と言って来た方全員を、ベルトコンベアーに乗せるように、「全員有無を言わせずスクリーニング検査でこれとこれとこれ!」ではない、ということです。
頭を使って、「いつごろこの検査をするのがいいのか?」をタイムリーに提示することが大切、というわけです。
もちろん、同じ排卵障害の人でも、例えば30歳の方と38歳の方では対応を変えるべきですよね。

そんな感じで、みなさんも、是非ご自身の状況を見つめ、「大脳皮質を使って」作戦を考えてみてください。
ここが大変な作業ですが、なかなか面白いところでもあるわけです。
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コメント

[C156] Re: ご報告です

ご妊娠成立、誠におめでとうございます。
待ち望んだ分、きっとお子様にも優しく接することができると思います。
妊婦生活をenjoy(?)してください。

引き続き、ご無事な周産期経過をお祈り申し上げております。
  • 2015-04-03 08:54
  • どくさま改め「いわもと」
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  • 編集

[C155] ご報告です

ご無沙汰しております。このたび、3回目の凍結胚移植で、9週目に入ることができました。先生のブログやサイトで勉強させていただき、たまにアドバイスもいただき、ようやく人生ではじめて妊娠することができました。先生のブログやサイトに出会っていなかったら、たくさんの情報に惑わされていまだに混乱していたと思います。結果、先生のお言葉通りになりました。無事に出産したら、先生のクリニックにご挨拶行かせて頂きたいくらいです。
お忙しい毎日と思いますが、体が資本!どうぞご自愛ください。遠いところからですが、これからも応援しています(^○^)ブログ更新も楽しみにしています!

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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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