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排卵誘発としてのレトロゾール(フェマーラ)のエビデンス(8)

今日(2015年4月)現在、アロマターゼ阻害剤は排卵誘発剤としての効能は認可されておりません。
即ち、アロマターゼ阻害剤を排卵誘発目的に使用することは、完全に適応外使用です。
仮に実臨床上、排卵誘発剤として使用する医療機関があったとしたら、それは処方する医療機関(医師)の責任の上で、患者様との十分なインフォームドコンセントが形成され、両者合意の上で処方されている筈です。
よって当然ですが、本ブログはアロマターゼ阻害剤の適応外使用による健康被害等に一切の責を負いません

本ブログ記載内容はアロマターゼ阻害剤の排卵誘発剤としての利用を認める意図は全く無く、海外の医学雑誌に記載された内容の和訳・解説に過ぎないことを十分ご理解の上、お読みください。


さて、そんなわけで、アロマターゼ阻害剤は「排卵誘発剤」としては認可をされていないわけです。
その歴史的理由は、僕もHPで記載しておきました。ここの「バックグラウンド」のところにも書きましたが、歴史的に一度ケチが付いたわけです。
ちなみにこの2005年の「アメリカ生殖医学会」の発表のアブストラクトにはこう書いてあります。

The incidence of locomotor malformations and cardiac anomalies was higher than in the control groups.((フェマーラで排卵誘発した群では)心奇形と運動器奇形が上昇した。)

です。
で、その後、この発表は、どうやら統計処理に問題があるようだ、という流れになっていて、その後結局査読のある論文には掲載されずじまいでした。

で、直近の考え方がどうなっているのか?というのを確認すべく、一番新しい「アロマターゼ阻害剤の排卵誘発剤としての使用」に関する論文を読んでおりましたところ、非常に心強い文字が並んでおりましたので、ご紹介しておこうかと思います。です。
で、この論文は、ネット上でPDFでも見ることができ、
  • Aromatase inhibitors for ovulation induction.(PDF版)
    • です。
      で、このPDFの5ページ目の右側の上の方、「Although ~」の段落です。

      Although not biologically plausible in the setting of ovulation induction, considering the short half-life, the lack of metabolite accumulation, the small doses used, and the timing of administration, a high incidence of cardiac and bone malformations in children of women treated with letrozole has been postulated.
      (半減期、代謝産物、使用量、使用時期などからど~~~考えてもあり得ないのに、レトロゾールを排卵誘発剤として使うと、生まれてくる子に心奇形+骨の奇形が増えると報告された。)

      However, many subsequent retrospective and longitudinal analyses demonstrated the absolute safety of letrozole.
      (しかしながら、その後の検討の結果、レトロゾールの「絶対的安全性」が示された。)

      おお!
      気持ちいい!
      単なる「safety」じゃないですよ!「absolute safety」ですよ!

      注:僕が言っているのではなく、あくまでこの論文に書いてあるのです。誤解なきよう。
      しつこいですが(笑)

      今日(2015年4月)現在、アロマターゼ阻害剤は排卵誘発剤としての効能は認可されておりません。
      即ち、アロマターゼ阻害剤を排卵誘発目的に使用することは、完全に適応外使用です。
      仮に実臨床上、排卵誘発剤として使用する医療機関があったとしたら、それは処方する医療機関(医師)の責任の上で、患者様との十分なインフォームドコンセントが形成され、両者合意の上で処方されている筈です。
      よって当然ですが、本ブログはアロマターゼ阻害剤の適応外使用による健康被害等に一切の責を負いません
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コメント

[C248] Re: レトロゾールの影響は…

コメント誠にありがとうございます。
無責任発言になってしまいますので、ネット上では、個別案件につきましては解答を控えさせていただいております。
誠に申し訳ございませんが、ご容赦賜りたくよろしくお願い申し上げます。
  • 2016-06-15 20:41
  • ドクターI
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[C247] レトロゾールの影響は…

はじめまして。過去記事に書き込み失礼します。現在不妊治療(顕微受精)中の37歳です。
どの記事も大変分かりやすく解説して頂き、ありがたく読ませていただいております。

先生のこちらの記事の中の「半減期、代謝産物、使用量、使用時期~どう考えてもありえないのに」の部分についてなのですが、これはあくまでも一般的な(D3あたりから5日間程度服用)使用に限定してのことなのでしょうか?

というのも、実は私自身、今回誘発中に急激にE2が高くなり、OHSSの予防という理由で、採卵直前(採卵の前日、前々日)にレトロゾールを処方されました。言われるがまま、前々日は服用してしまったのですが、その後レトロゾールについて調べているうちに怖くなり、前日は自己判断で服用しませんでした(先程先生のブログでその意味(OHSS予防)すらなしてなかったことを知り、衝撃を受けましたが…)。

とにもかくにも、今私は採卵の前々日にレトロゾールを服用すべきではなかったのではないか?と気が気ではありません。
幸い、全胚凍結で移植は次周期以降なので、受精卵となってからは、レトロゾールの影響を受けることはありませんが、
「レトロゾール服用後、39時間で採卵された卵子」
は前述のリスクを負うものなのか、先生のお考えを聞かせていただければ幸いです。

長々と失礼いたしました。
  • 2016-06-15 16:33
  • 採卵直後の患者
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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