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子宮内膜症と着床障害(2)

で、「面白い説」とは、奈良県立医大の小林教授の書かれた論文で、です。

(小林教授は、今では有名な「内膜症の悪性転化(癌化)」を統計学的に示された先生です。僕も研修医上がりのころ、一度酒席でご一緒させていただいたことがあるのですが、発想が非常に天才的で、「やっぱ教授になる人の発想力は凄いなぁ」と本気で思った方です)

正常な(正所)子宮内膜は、増殖期(卵胞期)には細胞増殖関連の遺伝子が活性化し、内膜が増殖して、分泌期(黄体期)にはプロゲステロンの作用により脱落膜化関連遺伝子が発現し、分泌期内膜になるわけです。
ところが、「内膜症でない人の子宮内膜」v.s.「内膜症の人の(正所)子宮内膜」でそうした遺伝子発現を解析してみると、子宮内膜症患者群では

・卵胞期(増殖期)に発現すべき遺伝子群が過剰に発現
・黄体期(分泌期)に発現すべき遺伝子群の発現が低下


していた、とのことです。

この「黄体期に発現すべきなのに発現が低下していた遺伝子」は29個あるそうで、こんな仮説を立てられたそうです。

子宮内膜症は、本来子宮内膜で発現すべき脱落膜化関連遺伝子が発現しておらず、脱落膜化機能不全を呈している女性に発生するのではないか?

つまり、内膜症があるから内膜の着床能が影響を受けるわけではなく、もともと子宮内膜がプロゲステロンの変化を受けにくい人が内膜症を発症しやすいのではないか?

というわけです。
つまり、
・内膜症が原因→内膜が結果
なのではなく、逆で
・内膜が原因→内膜症が結果
なのではないか?というわけです。

非常に興味深い推察ですよね。
で、さらにここから先がもっと面白い話につながっていきます。

【続く】
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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