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子宮内膜症と着床障害(4)

【続き】

DOHaD、復習しておきます。

成人病胎児期発症起源説(DOHaD:Developmental Origins of Health and Disease)ですね。
歴史的に「飢餓」に相当する時期に生まれた子供が成人すると代謝性疾患や精神疾患になる率が上昇することや、一卵性双胎の双子の体重の大きかった方v.s.小さかった方で比較しすると低体重児の方が成人時の生活習慣病罹患率が高いことなどから、胎児期の栄養への暴露状況が成人後の疾患発病に関与しているのではないか?という考え方なわけです。

で、これらは、胎児期の栄養状況によってDNAメチル化の過不足が生じてしまい、DNAの発現の程度に差が出てしまうのではないか?と考えられているわけです。
この考えで、皆さんにも浸透しているのが「葉酸サプリ」ですね。
(注:葉酸のサプリを採ったほうがいい、と推奨しているわけではありません。ご注意下さい。)

つまり、母体内にいた時期の栄養暴露状態が、子宮内膜症発症の一因になっているのではないか?というわけです。
小林先生はこれを「胎児期子宮内膜症発生仮説」と名付けておられるようです。

同様に小林教授の論文から。
の最後の段落をご紹介してみたいと思います。

There is a cumulative and growing evidence that nutrients affect metabolic tracts through epigenetics.
Fetal overnutrition or undernutrition leads to future development of various metabolic disease.
One may propose an innovative approach based on the idea of similarity between endometriosis and metabolic syndrome.
The epigenetic changes in vulnerable to environmental cues during early development.
There is no evidence for the fact that the concept of fetal programming, in paticular early life nutritional exposures, has an implication for reproductive medicine such as endometriosis.
However, an adverse intrauterine environment, for example a shortage or excess of nutrients may also be associated with increased risks for endometriosis later in life.

すなわち、母親が妊娠時に経験した栄養不足や栄養過多などの母体環境が、胎児の脱落膜化関連遺伝子にエポジェネティックな影響を引き起こし、将来、子宮内膜症を引き起こすことになるのかもしれない、というわけです。

もちろん、現在の所、説でしかありませんが、妊娠初期の栄養状態が極めて重要であることは間違いのないところです。
肥満/痩せの方を、生活習慣そのままに生殖医療の力だけで妊娠に導いてしまうことが本当にいいことなのか?改めて考えさせられるわけです。

ということで、こんな非常に興味深い内膜症発症説がありましたのでご紹介してみました。
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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