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無月経、やります!(6)

さて、大分佳境に入ってきました。ここから先はしょっちゅう見られる状態ですね。

無月経の原因:④正常、または低FSH
  • FSHが正常または低下していて慢性的な無排卵になる場合は、原因不明のことも多い。
  • この場合「視床下部性無月経」か「PCO」という診断に至ることが多い。
  • これらは共に(視床下部からの)Gn-RHパルスの異常で、周期的でなくなると「視床下部性」、周期が早くなったり増えると「PCO」という状態になる。
  • 「視床下部性無月経」と「PCO」を鑑別するのは、肥満や男化兆候などPCOに特徴的な臨床兆候の有無を参考にする。(管理人注:この辺は人種差があるところとされており、この論文はあくまでアメリカのものです。日本の診断基準だと、例えばお若い「視床下部性」(体重減少性無月経の回復期など)とnon-obese PCOは鑑別が非常に難しいことがあります。)
  • 一般的に「視床下部性」では、エストロゲンレベルが「低く」、「PCO」では「正常」と考えられているが、エストロゲン濃度は変化するので、鑑別にはあまり有効ではない。

無月経の原因:⑤視床下部性無月経
  • 視床下部あるいはより上流での(Gn-RHパルスに対する)機能障害が、慢性的な無排卵のもっとも多い原因である。
  • 精神的なストレス、体重の変化、栄養不足、過激な運動などがこの状態と関連することが知られているが、その正確な機序はまだわかっていない。
  • 神経因性食思不振症は、10万人に15人と稀だが治療抵抗性である。
  • 競技スポーツの選手は無月経率が3倍程度となり、特に長距離ランナーで著明である。
  • 時として、視床下部性無月経は初経前に起こることもある。
  • 若年性糖尿病、腎機能障害、悪性腫瘍、AIDS、吸収障害などの慢性消耗性疾患も原因となりうる。
  • 他には、ゴナドトロピン分泌障害も稀ながら認められる。
  • 代表疾患はKallmann症候群で、嗅覚障害と無月経を認める。
  • GnRHレセプターの遺伝子異常も低ゴナドトロピン血性性腺機能低下症になりうる。
  • 視床下部性無月経の女性は骨粗鬆症になり易い
  • そもそもの原因は難治性であっても、ホルモン補充療法は必要である。
  • 妊娠を望むときには、そもそも栄養状態の改善と体重増加が必要だが、困難なことが多く、クロミフェン、ゴナドトロピン、GnRHパルス療法を行う。

といった内容ですが、ちょっと待った!をかけておきます。
あくまでも僕の意見ですが(え?お前の意見は別に聞きたくないって?まあまあ、個人的にはこの分野大好きなので)、ちょっと付け足ししておきます。

えっと、まず、体重減少性無月経ですが、今、めちゃめちゃ多いです。
ここに書いてある通り「スポーツマン」とか「マラソン選手」のイメージが強いですが、全然そんなことないです
ごくごく普通の女性(女の子)でよく見られます
栄養学的には、例えば、社会問題化しているいわゆる「メタボ」に代表されるがごとく、肥満が注目されますが、現在、若い女性の「痩せ」も非常に深刻です。
20代女性の「痩せ」の割合、ご存じですか?
大体25%を少し下回る位です。
4人に1人が「痩せ」です。

で、生理不順で僕もよく拝見します。
体重減少性無月経と判断すると、神経因性食思不振症(AN)を否定します。
ANはさすがに専門家にお願いします。

で、ANでない体重減少性無月経/月経不順(単純体重減少性無月経/月経不順)ですが、やはり体重増加が基本なのです。
一見、普通の女性の体重減少性無月経と聞くと、「美容目的」とか「ダイエット」とかいうイメージがありますが、まあ、そのパターンもありますが、そうではない場合の方が多いと思います。
話を聞いてみると、彼女たちは、本当に体重増加の仕方がわかっていません
で、悩んでいるパターンも多いです。
「『食べろ』と言われても、自分では十分食べているつもりなんです!」
という状況です。
そうなんですね。いわゆる「メタボ」の逆パターンで、自分では知らないうちに「痩せる」生活習慣が身についていて、何がおかしいのか、何で体重が増えないのか自分ではもう解決できないのですね。
ある意味生活習慣病なのかも知れません。

そんな彼女たちに「太れ」というのは、肥満の人に「痩せろ」というのと同じで、そう簡単には治らない。
どうやったら太れるのか?のきちんとした栄養指導をすべきなのです。

あと、「ホルモン療法せよ」、「排卵誘発せよ」と簡単に書いてありますが、僕個人的には、
  • 標準体重の75%以上が月経誘導の適応
  • 標準体重の85%以上が排卵誘発の適応
を守るようにしています。

この辺はこだわりがあるところなので、どこかで一度まとめたいと思っております。
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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