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確認(1):「自然周期-タイミング」 v.s. 「自然周期-人工授精」

経管栄養という言葉をきいたことがありますか?
食事を口から食べられなくなった患者さんが、鼻や(経鼻)腹部の皮膚から(胃瘻)直接、胃にチューブを入れ、栄養補給を行う方法です。

では、「食事を口から食べられる人」が胃に管を通して栄養補給をした場合を考えてみましょう。
「普通に食べられる」人ですよ。
この状態で「経管栄養」 v.s. 「経口栄養」どうですか?
経管栄養の方が何かいいこと起きますかね?
僕は消化器内科医ではないので詳しくは知りませんが、「普通に食事を口から食べられる人」が胃に管を通して栄養補給を行うという行動に利点があるように感じないのです。
逆に「咀嚼しない」とか「嚥下しない」とか、そういった「非生理的な」状態がマイナスに働くような気もします。

同じことです。
「腟内射精された精子を受精の場である卵管膨大部に遡上させるのにトラブルがなさそうなカップル」が子宮内に管を通して人工授精をすることに意義はありますかね?
「普通に腟内射精で妊娠出来得る条件が整っているカップル」がAIHを行うという行動に利点があるように感じないのです。
逆に「hCGで人的都合により排卵日を決めてしまう」とか「遠心分離をかける」とか「管を子宮に通して、子宮内膜を壊してしまう可能性はどうなのか?」とか、そういった「非生理的な」状態がマイナスに働くような気もします(プラスに働く場合もあるのかもしれませんが)。

この点は、HP「妊活外来へようこそ!」でも解説済なのですが、復習しておきたいと思います。
コクランの2012年で、です。
リンク先の、下から3行目、こんな風に書かれています。

One adequately powered multicentre trial showed no evidence of effect of IUI in natural cycles compared with expectant management.

原因不明不妊では、「自然周期-人工授精」がexpectant management、つまり何もしなかった場合に比べて効果がある、というエビデンスはない、というわけです。

不妊治療を受けてらっしゃる方には、なんとなく
「人工授精は性交渉に比べ優れた方法だ」
という印象があるようです。
いや、確かに人工授精の方がいいだろう、という状態の方は間違いなくいます。
ただし、それは、「口から栄養を採るより、管で強制的に胃に栄養を送り込んだ方がいい人」と同様の状態である人だと思います。
でも「口から十分量の栄養が採れる人」に、やっぱり経管栄養は普通しないわけです。

当院にも、「何となくAIHの方がよさそうなので、AIHをやりたいです」という方がいらっしゃいます。
AIHの方が利点がありそうな場合は是非行うべきなのですが、僕の視点からすると、あまり利点を感じない方もいらっしゃるわけです。
「何となく優ってそう」という雰囲気で高いお金を払うのではなく、「本当に利点があるのか?」を是非考えてみてください。
参考。
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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