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汝、そのAMH測るなかれ(4)

<Background>
の続きです。

で、
「先に答えを言ってしまうと、抗ミューラー管ホルモン(AMH)も正確な卵巣予備能(=総卵胞数)を測っているわけではありません。」
と書きましたが、
「じゃ、何を測ってるんだ?」
となるわけで、それを解説してみます。
AMHは何を測っているのか?を理解するためには、「卵胞の発達」を理解する必要があります。

【卵胞の発達】
さて、
「月経中に卵巣を超音波で見ると『胞状卵胞』が見えて(←厳密にはこの表現も少し正確性を欠くのですが)、自然周期ではそのうちの一つが大きくなって、18mm位になると排卵してくる」
というわけで、胞状卵胞→排卵までが月経周期が順調なら14日ぐらいなわけですね。

では、この排卵する卵胞は、いつから排卵に向けた「準備」をしていたのでしょうか?
皆さんの卵巣には生まれてからずっと「卵子」が冬眠状態で待っているわけですね。
(ちなみにその卵子の総数が卵巣予備能でした)
その冬眠状態の「卵子」は、いつ冬眠から目覚めて、今日の「排卵する一個」になる準備を始めるのでしょうか?

これは、不妊屋ならさすがに見たことがない奴はいなかろう、というこの分野では超有名な論文(というか「図」)があります。
の図です。



で、
「月経中に卵巣を超音波で見ると『胞状卵胞』が見えて」
に相当するのが、この絵でいうと⑤のところに相当します。
僕らが普段見ている、
「月経中に胞状卵胞が何個見えて・・・」
と言っている「胞状卵胞」まで発育してくるのに、実に
「>120DAYS+BASAL GROWTH 65DAYS」
つまり、ざっと半年前に冬眠から覚め、準備を始めていたわけです。
7月に排卵した卵子は1月に、8月に排卵してくる卵子は2月に、その永い眠りから覚め、準備を始めていたわけです。

同じ論文には、こちらも超有名な教科書的な図が載っています。
上の図で言うと①の前胞状卵胞が⑤の段階になるまでのステップが書かれています。
「BASAL GROWTH 65DAYS」
に相当するわけですね。



この図によれば、「今月経中に超音波で確認できる『胞状卵胞』は3回前の排卵後から発育を開始しているわけです。
元論文を読むと、前胞状卵胞→胞状卵胞(卵胞腔ができる)にはFSHが必要、と記載されています。
つまり、今周期の卵胞発育のためのFSHは、来月の排卵のための卵胞+再来月の排卵のための卵胞をも(目に見えないところで)育てているわけです。
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コメント

[C203]

長い不妊期間の末、妊娠してうまれてきた娘が、実はうちのパパママに会うために半年前から準備してくれてたんだな、と知り涙が溢れ、愛しく感じました。
今は、顕微授精しか方法がない2人目不妊ですがどうしても踏み切れず、もう子どもは持てないとふさぎこむ日々です。ここでいつも、勇気をもらったり泣いたり元気づけられています。

[C202] 半年前から…

半年前から準備しているだなんて(゚o゚;;
いつから育ち始めるかということすら考えたことがありませんでした。
神秘…体内にエールを送りたい気分です。
続きも楽しみにしています。

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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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