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汝、そのAMH測るなかれ(5)

<Background>の続きです。

【卵巣の何がAMHを分泌しているのか?】
そんなわけで、「卵巣予備能」というのは、「その時点での卵巣における原始卵胞の在庫数」「その時点で卵巣に残っている卵子数」という意味で用いられているのですが、その直接その卵子数(原始卵胞数)を調べる方法が無いのでした。

では、AMHという物質(ホルモン)は何が分泌しているか?というと、卵子が出しているわけではないんです。

から図を借りてきました。
下にお示しいたします。
マウスの卵巣のAMHの免疫染色の写真だそうです。
茶色に見える部分にAMHが存在しています。

で、3枚目。(C)の左下のところに「O」と書かれている部分がありますね。
これが「卵子」です。
ね。卵子はAMHを分泌しているわけではない(茶色くなっていない)のです。

そう。見てお分かりの通り、卵子の取り巻きの細胞が分泌しているわけです。
ドーナツみたいに見えますね。
ドーナツの穴のところに卵子がいます。

で、卵巣予備能で肝心の「卵子の在庫」=卵巣内で「冬眠中の」卵子(原始卵胞)はどれか?というと、同じ3枚目、(C)の上部の中央やや右寄りの「pr」と書いてあるやつです(primordialの略です)。
ね。卵巣予備能で肝心の「卵子の在庫」である原始卵胞はAMHを分泌していないんです。

では、何がAMHを出しているか?というと、今度は図の1枚目、(A)ですね。
冬眠していた卵子(pr)が、排卵に向けて準備を始めるためにお目ざめした最初の段階が「p」です。
図の右端にありますね。
正式名は「一次卵胞(primary follicle)」といいます。
指輪みたいに卵子の取り巻きの一層の細胞がAMHを分泌していますね。

で、この卵胞が「汝、そのAMH測るなかれ(4)」で記載した通り、「>120DAYS」かけてpreantral(前胞状卵胞)になるのですが、それが、同じ図の左側、「PA」と書いてあるやつです。

これに「卵胞腔」ができてくると「胞状卵胞(antral follicle)」になるわけですが、それが同じ図の一番大きく茶色に染まっているやつですね。
「SA」と書かれています。「small antral」の略ですね。

で、AMHを分泌するのはここまでです。
それが2枚目の(B)の図です。

先ほどの「SA(small antral)」がさらに成長したのがこの図の3つ並んだ一番右にある「A」です。
「antral」の略で、茶色が薄くなってきてますね。
このように、胞状卵胞では、AMHの分泌は減ってくるわけです。

因みに同じ図の「At」は「atretic follicle(閉鎖卵胞)」です。
排卵したい!と目覚めたものの、実際に排卵した卵子たちとの競争に敗れてしまったなれの果てですね。
(僕がよく「もったいない」「この卵子も試せれば可愛い赤ちゃんになったかもしれないのに」と言っているやつです。ま、今回はこの話題ではないのでいいんですけど。)

4枚目の(D)の図では、右下のほうに「CL」とあります。
「corpus luteum(黄体)」ですね。
黄体はAMHを分泌していない、というわけです。









【続く】
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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