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インフルエンザワクチンについて(1)

さて、今年もこの時期がやってまいりました。
妊娠予定の方・妊娠中の方のインフルエンザワクチンについて、現在はどのように考えられているのか?を解説しておきます。
使用するのは、産婦人科医のバイブル
  • の、CQ102、この中のページで言うと54ページから、PDFのページで言うと73枚目です。

    解説の所、読んでみます。
    最初の段落から。

    妊婦もインフルエンザに罹患すると重篤な合併症を起こしやすい。妊婦がインフルエンザ流行中に心肺機能が悪化し入院する相対的リスクは産後と比較して妊娠14~20週で1.4倍、妊娠27~31週で2.6倍、妊娠37~42週で4.7倍であり、妊娠週数とともに増加するとの報告がある。

    ということで、妊娠中のインフルエンザは重症化しやすいので積極的な予防を考慮した方がいいのでは、という書き方ですね。
    次の段落行きます。

    現在使用されているインフルエンザワクチンは不活化ワクチンであり、理論的に妊婦、胎児に対して問題はなく、約2000例のインフルエンザワクチン接種後妊婦において児に異常を認めていない。
    そのため米国における米国疾病予防局(CDC)ガイドラインではインフルエンザ流行期間に妊娠予定(妊娠期間に関係なく)の女性へのインフルエンザワクチン接種を推奨している。
    ACOGもCDCの勧告を支持している。
    本邦の国立感染症研究所は妊婦にワクチンを接種した場合に生ずる特別な副反応の報告はなく、また妊娠初期にインフルエンザワクチンを接種しても胎児に異常の出る確率が高くなったというデータもないと報告している。
    妊娠初期の接種は避けた方がいいという慎重な意見もあるが、流産・奇形児の危険が高くなるという研究報告はないため、妊娠全期間においてワクチン接種希望の妊婦には摂取可能とした
    不活化インフルエンザワクチンを妊娠第3三半期に接種した妊婦からの児は、非接種妊婦からの児に比して、生後6ヵ月までのインフルエンザ罹患率は63%に減少する。通常、6ヵ月未満の乳児に対するインフルエンザワクチン接種は認められていないため、妊婦へのインフルエンザワクチン接種は妊婦と乳児の双方に利益をもたらす可能性がある。


    ということで、安全性に関してはほぼ担保されているであろう、というわけです。
    で、確かに出産後の赤ちゃんがいるご家庭にインフルエンザを持ち込んでパニックになっておられる方を拝見したことがあります。
    生まれてくる赤ちゃんにも利点がありそう、ということですね。

    一つ飛ばしてその次の段落行きます。

    わが国のインフルエンザワクチンには、防腐剤としてエチル水銀(チメロサール)を含有している製剤と含有していない製剤がある。チメロサールを含んでいる製剤もその濃度は0.004~0.008mg/mLと極少量であり、胎児への影響はないとされている。
    懸念されていた自閉症との関連性も否定された。
    したがって、チメロサール含有ワクチンを妊婦に投与しても差し支えない
    利用できる状況にあり、かつ妊婦が希望する場合にはチメロサールを含有していない製剤を接種するが、利用できない状況下(チメロサールを含有していない製剤入手まで時間がかかる)であり、かつ周囲でインフルエンザの流行がある場合にはチメロサール含有ワクチン接種を躊躇しない。


    「ワクチンに水銀??」
    はい。そうなんですね。
    この辺は、産婦人科の世界では常識なんですが、医療従事者でも知らない人も意外に多い内容なので詳しく解説したいと思います。

    【続く】
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    Author:ドクターI
    武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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