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Assisted Hatchingに対する考察(2)

Assisted Hatchingに関し、日本にはガイドラインは本日現在ありませんが、アメリカ生殖医学会は「ガイドライン」と銘打って発表しています。
最新版は2014年のこちらで、この内容は皆さんも見ることができます。
(フリーアクセス版は版権の影響でしょうか。プリントアウトできませんが。)
では、このガイドラインを読んでみます。

えっと、2ページ目の左側の真ん中辺から。
CLINICAL CONSIDERRATIONS AND RECOMMENDATIONSの所です。

Assisted Hatching and Clinical Pregnancy Rates(CPRs)
  • コクランは、体外受精・顕微授精を受けた総勢5728人(Assisted Hatching群:2933人、コントロール群(Assisted Hatching無し):2795人)からなる31のランダム化比較試験を検討している。
  • 臨床的妊娠率(clinical pregnancy rate)はオッズ比1.13(95%CI:1.01~1.27)で、僅かだが有意にAssisted Hatching群で上昇した。
  • しかしながら、各試験間での異差があり、(単純に)まとめて論じるべきではないのかもしれない。
  • 最も規模の大きな試験は、Assisted Hatching群の臨床的妊娠率が39%(189/487)、Assisted Hatching無し群で37%(173/473)であり、両群間に有意差は認められなかった。コクランに含まれていない他のランダム化比較試験は見当たらなかった。

Assisted Hatching and Live Birth Rates
  • Assisted Hatchingに関する多くの研究は臨床的妊娠率(clinical pregnancy rate)で物を論じている。
  • 長期に広く行われている手技にも関わらず、Assisted Hatchingが出生率(live-birth rate)に与える影響を検討した研究はほとんどない。
  • コクランで検討されている31のランダム化比較試験のうち、出生率(live-birth rate)が記載されているのはわずかに9試験のみである。結局、これらでは255人の出生しか論じられていない。
  • 出生率(live-birth rate)に関してはオッズ比1.03(95%CI:0.85~1.25)でAssisted Hatchingの有無での有意差は認められていない。


ということです。
そうなんですね。
こんなに広く、時にはルーチーンで行われていることすらあるAssisted Hatchingですが、出生率が上昇する、というデーターは出ていないのです。

不妊がらみの論文で、その成績を論じるのによく使われるゴールに臨床的妊娠率(clinical pregnancy rate)出生率(live-birth rate)などの指標が使われます。
で、当たり前なのですが、皆さんのゴールは「臨床的妊娠」ではなく「出産」なので、出生率(live-birth rate)を論じてある論文の方が重要視されます
「臨床的妊娠率」が上がっても、「出生率」が上がらなければ、結果的には意味ないですからね。

【続く】
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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