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Assisted Hatchingに対する考察(4)

続き。

で、Assisted Hatchingはどうやら臨床的妊娠率は上げるが、それが生児獲得率に結び付いているか?というと、今日現在そのエビデンスは無いわけです。

だとすると、最初のに出てきたように、
「リスクがあるのか?」
「あるんだったら、そのリスクを冒してまでAHを行う必要があるのか?」

という疑問が湧くのは当然ですね。

で、最後の段落で、その「Assisted Hatchingのリスク」が述べられています。

Assisted Hatching and Twin Pregnancy
  • Assisted Hatchingを行うと多胎妊娠のリスクが増えるようである。
  • コクランは14のランダム化比較試験を統合し、Assisted Hatching後の多胎妊娠は有意に増加するとしている(オッズ比1.39、95%CI 1.09-1.77)。
  • ARTに関連する多胎は通常2卵性の多胎妊娠だが、(Assisted Hatching後の多胎妊娠は)1卵性の多胎妊娠が増加すると指摘するものがある。
  • 2卵性の双胎に比べ、1卵性の双胎は独特のリスクがあり、病的リスクが増す。
  • よって、リスク因子を解明することが極めて重要となる。
  • 透明帯に孔を開けるというAssisted Hatchingは1卵性双胎と関連があるとされている。
  • 例えば、SARTという組織のデーターを用いたケースコントロールスタディでは、Assisted Hatchingと1卵性双胎の関係が明らかとなっている。
  • 胚移植を行った35,503周期で検討したこの研究では、Assisted Hatchingを行うと1卵性双胎が3倍以上起こりやすい(多胎妊娠と比較してオッズ比3.2、95%CI 1.2-8.0、単胎妊娠で比較してオッズ比3.8、95%CI 1.8-9.8)。
  • この研究では、それまで考えられていた以上にAssisted Hatchingが1卵性双胎に強く関連している、という結果だった。
  • しかしながらAssisted Hatchingが1卵性双胎を増やす、という有意差が得られない報告も多い。
  • コクランは6件の試験を統合した結果、1卵性双胎はAssisted Hatching群で0.8%、コントロール群で0%だったが、有意差は無かったとしている。
  • 同様に、他の研究でも、新鮮周期でも凍結周期でもAssisted Hatchingによる1卵性双胎の増加は認められなかったとする研究がある。
  • IVF8年間のデーターから1卵性双胎と関連する因子を検討したある研究によると、「母体年齢が35歳未満」というのが最も強い因子で、透明帯操作を伴うAssisted HatchingやICSIは関連がなかったと報告している。
  • Assisted Hatching後の多胎妊娠は有意に増加するという明らかなエビデンスはあるが、1卵性双胎の増加と関連があるかは明らかではない。
  • 何れにせよ、Assisted Hatching後の1卵性双胎は1%未満である。


ということで、

一卵性双胎が増えるかどうかは別として、多胎妊娠率は確実に上昇する。

というわけで、周産期リスクを上昇させるのは間違いないようです。
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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