Entries

ポリープが先か?不妊が先か?(1)

「子宮内膜ポリープ」があると「妊娠しにくくなる」ので「取りましょう」

よく使われている表現だと思います、し、結果あまり問題のない状況だと(多分)思うのですが、実は「子宮内膜ポリープ」、これまたそんなに単純なものではないかもしれません。

ポリープがあると不妊になる理由として「着床障害の原因となる」とかよく説明されていると思います。
まあイメージしやすいですわな。
他にも「精子の輸送障害」とか「炎症/出血」とかね。
だとすると、ポリープが全面的に悪いわけで、単純に「あれば取る」で全面解決するはずですよね。

ところが調べてみると「取ることによって妊娠率が改善することははっきりしていない」とか「何センチ以上なら取ったほうがいいのかという基準がない」とか非常~~に微妙なことが書かれています。

不妊の原因となっているものを取っても解決しないかもっておかしいじゃないか!ゴ━━━━(# ゚Д゚)━━━━ルァ!! 」

そうなんです。矛盾しますよね。
何ででしょう?

そんなわけでしばらく「子宮内膜ポリープ」を勉強してみたいと思います。

読んでいくのはこちらです。
AAGLというのは、American Association of Gynecologic Laparoscopistsの略ですから、「アメリカ婦人科内視鏡学会」といった感じでしょうかね。そのガイドラインということですね。
内容行きます。まず先にガイドラインから書いて、そのあとに解説を箇条書きにしていきます。

  • 加齢は子宮内膜ポリープの最大のリスク因子である。
  • 症状がある場合には、不正性器出血が最も多い。
  • 不妊女性では子宮内膜ポリープと診断される頻度が高い。
  • ポリープの約25%は自然に縮小する。小さなポリープであるほど自然に縮小する確率が高い。
  • 「タモキシフェン」のような薬物療法は子宮内膜ポリープの形成と関連がありそうである。
  • 加齢に伴いポリープから癌が発生するということは稀なようである。出血があったりタモキシフェンを使っていたりすると、悪性である可能性が高まりそうである。

【解説】
  • 子宮内膜ポリープはよく見られる病態だが、多くは無症状のため、頻度はよくわかっていない。
  • 加齢、高血圧、肥満、タモキシフェンの使用などがリスク因子である。(管理人注:タモキシフェンは抗エストロゲン剤で、乳癌のホルモン療法等に使用されます)
  • その中でも加齢は最大のリスク因子。
  • 生殖年齢では、年齢とともに内膜ポリープの頻度は増えるが、閉経後に増え続けるのか減るのかはよくわかっていない。
  • 子宮筋腫、子宮内膜症、子宮頸管ポリープなどほかの良性疾患があると、内膜ポリープも共存する可能性が高くなるようである。
  • タモキシフェンの使用は子宮内膜ポリープ発症のリスクで、30~60%に見られるとされる。
  • ホルモン療法(管理人注:おそらくHRTのことを指していると思われます)と内膜ポリープは、関連があるともないとも言われていて、一定の見解に至っていない。
  • プロゲステロンやピルは内膜ポリープの発症を抑制する効果があるのかもしれない。
  • 症状が出るとすると、不正出血が最も多く、有経女性の不正性器出血の10~40%でポリープが認められる。
  • 不妊女性ではポリープの頻度が高まるようであり、32%という報告がある。
  • つまりは不妊と内膜ポリープには関連がありそうだ。
  • 稀ながら、異型増殖症(管理人注:異型子宮内膜増殖症)や子宮体癌が子宮内膜ポリープに由来している可能性がある。
  • その頻度は加齢とともに上昇すると考えられている。
  • 症状(出血)があると、ポリープ内に悪性腫瘍が含まれている可能性が増し、ポリープの大きさも同様の傾向がある。
  • 他の子宮体癌のリスク因子(肥満/糖尿病/高血圧)を合併している場合にも注意が必要。
  • タモキシフェンも同様である。
  • 子宮内膜ポリープを治療せずにそのまま経過観察した場合にどうなるかについてはあまりよく分かっていない。
  • 1年間経過観察すると、27%が退縮したという報告がある。
  • 小さいポリープほど退縮しやすいようだ。
とのことです。

以下、僕が個人的に考えている内容です。合っているのかどうかは保証の範囲外です!

つまり、内膜ポリープには発生しやすい条件がありそうだ、ということですね。ここでは
  • 加齢
  • 子宮筋腫、子宮内膜症、子宮頸管ポリープ等の合併
  • ホルモン状況(タモキシフェンでできやすくなったり、プロゲステロンやピルでできにくくなったり)
  • (そして何より)不妊
とあります。
並べてみると、なんとなく感じるものがありませんか?そう。
何らかの内膜の機能異常がそもそも存在し、その結果、内膜ポリープができてきている可能性があるんじゃないか?
って思いませんか?そんなこと考えるの僕だけですか?
つまり、ポリープを単なる「不妊の原因」として捉えるだけでなく、「不妊の結果」としても捉える。
そう考えるとつじつまが合うんですね。
「取ることによって妊娠率が改善することははっきりしていない」=「ポリープは取っても、そもそもの内膜機能異常は解決していない」
という構図が成り立ちはしませんかね?。

もちろん切除すること自体はなるべくすべきだと思います。
内膜の機能異常が存在する→内膜ポリープができる→さらに着床が阻害される
の悪循環になっている可能性があるわけで、この悪循環を断ち切るわけです。
さらにはここに出て来た「悪性腫瘍の可能性」も検索できるわけですから。
(事実、僕もポリープ切除した結果、良性ではなかったという方を診させていただくことがあります。それも決して「数人」という単位ではありません。)

ただし「ポリープを切除すればおしまい」という発想は危険だと思っています。
僕は「ポリープが不妊の原因です。ポリープを切除すれば解決です」とは言わないようにしています。
理由は前述の通りです。
ポリープが無くなる分、妊娠率は上昇する可能性がありますが、「そもそもの大元の原因が断ち切れていない可能性がある」と思っているからです。
そんなわけで必ず「なぜこの人にはポリープができてしまったんだろう?」と考えていきます。
そしてその大本を解決するようにすべきだと思っています。
どのように実際対応しているかですって???内緒です!

今回の表題「ポリープが先か?不妊が先か?」の理由、お分かりいただけましたでしょうか?

以上、エビデンスがあるのかどうかは知りませんよ!
あくまでも僕の個人的な考え方、「どくさま」流です!


引き続き「内膜ポリープ」勉強していきましょう!
スポンサーサイト
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://dokumotti.blog.fc2.com/tb.php/51-bf6c4b23

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

カウンター