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クアトロテスト(5)

クアトロテストは確率が出るわけですが、実はもう少しだけ踏み込んだ形で返ってきます。
「Screen Positive(スクリーニング陽性)」「Screen Negative(スクリーニング陰性)」のどちらかの群に振り分けられて報告書に記載されています。
これが確かに科学的にはクアトロテストの肝でもあるのですが、きちんと理解していないと非常に誤解を招きやすい点であるのも確かだと思います。
何せ僕ですら、患者様の結果をチェックしている時、結果に「Screen Positive(スクリーニング陽性)」と記載されていると「ドキッ」としてしまうぐらいですので。

で、このクアトロテストの結果得られた確率に対し、「カットオフ値」というのが定められています。
ダウン症の場合は1/295が「カットオフ値」です。
つまり、極論、測定した結果が1/300なら「Screen Negative(スクリーニング陰性)」、1/290なら「Screen Positive(スクリーニング陽性)」と記載されて返ってきます
この1/295という数字はいったい何なのでしょうか?
この数字はこのようになっているようです。

  • 1999年~2004年までにクアトロテストを受けた19112例を対象に解析
  • このうち、ダウン症罹患児は45人、非罹患児は19067人
  • クアトロテストのカットオフ値は1/295
  • スクリーニング陽性となったのは1763人(9.22%)でそのうちダウン症罹患児は39人(陽性的中率2.21%、偽陽性97.79%)
  • スクリーニング陰性となったのは17349人(90.78%)でそのうちダウン症罹患児は6人(陰性的中率99.97%、偽陰性0.03%)
  • 検査の感度(ダウン症罹患児を「陽性」と判定した割合)39/45=86.67%
  • 検査の特異度(ダウン症非罹患児を「陰性」と判定した割合)17343/19067=90.96%






というわけです。
で、この位の感度・特異度を有していると「検診(スクリーニング検査)としてはかなり有能」と読むそうです。

例えば職場や学校などで健康診断を行います。ここで、病気を持っていそうな人を「大雑把に」ピックアップするわけです。
病気がないのにピックアップされる人もいるし、病気があるのにピックアップされない人もいます。
「○○を見逃された!」「検査引っかかったけど、精密検査したら何ともなかった」なんてよく耳にするわけですが、結局そういうことなんです。
健診って、
「効率よく病気を見つけよう」
という手段なわけですから。

で、ピックアップされた人を精密検査する。
すると、ほとんどの人は結局病気がないわけですが、一部の人が病気が見つかるわけです。

例えば大腸がん検診。
便潜血が陽性になると、精密検査に回されます。
でも便潜血が陽性になっても、精密検査をしても全員が大腸がんではないわけです。
これと同じです。

クアトロテストはこの「健康診断」的な意味合いの検査で、「精密検査」が羊水染色体検査なわけです

なので、そもそも臨床的にクアトロテストは確定診断を求めている検査ではないわけです。

【続く】
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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