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ポリープが先か?不妊が先か?(3)

さて、最後、「治療」の項目行きます。
(このガイドライン自体はあくまで「子宮内膜ポリープ」の治療という観点で書いてありますので、必ずしも「不妊」を対象としているわけではない点ご注意下さい。)
  • 特に小さいポリープで無症状なら、保存的に経過観察するという選択肢もありうる。
  • 今のところ、薬物療法を推奨できるデーターはない。
  • 子宮鏡下ポリープ切除術が第一選択である。
  • 子宮鏡下にポリープを切除するなら、その方法論での臨床的相違はなさそうである。
  • 閉経後有症状の場合は、組織学的検索の為に切除すべきである。
  • 低侵襲、低コスト、合併症の少なさという面から、子宮全摘よりは子宮鏡下ポリープ切除に利点がある。
  • ポリープを有する不妊患者では、自然妊娠、あるいはARTであっても、妊娠率を上昇させるために切除が推奨される。

【解説】
  • ほとんどのポリープは悪性ではないので、治療せず経過観察をするという選択肢もありうる。
  • 約25%で自然にポリープが縮小する可能性がある、というデーターもあり、特に10mm以下の小さなポリープではその傾向があるようだ。
  • 閉経後の無症候性ポリープは、悪性である可能性は低く、患者と相談のうえ経過観察するという選択肢もありうる。
  • 薬物療法は限定的である。
  • 子宮鏡下ポリープ切除術に先立ってGnRHアナログ療法を併用することが可能だが、費用と副作用に見合うだけの効果があるのかという観点からの検証が必要で、今のところ、GnRHアナログの使用を支持するデーターはない。
  • ホルモン療法により、ポリープ形成が抑制される可能性が報告されている。
  • タモキシフェン療法中にレボノルゲストレル放散IUDを使用すると子宮内膜ポリープの発症が予防される。(管理人注:レボノルゲストレル=黄体ホルモン製剤です)
  • ただし、「治療」という意味での使用に関してははっきりしていない。
  • 子宮内膜掻爬術は8%の切除率で、ポリープ鉗子を併用すると完全切除率は41%に上昇する。
  • 基本的に子宮内膜病変の子宮内膜掻爬術での成功率は50%以下で、不完全なことが多い。
  • よって、子宮内膜掻爬術は診断目的であっても治療目的であっても、子宮鏡下操作が可能なら行われるべきではない。
  • 子宮鏡下ポリープ切除術後の子宮腔内癒着のリスクは低い。なぜなら、子宮筋層損傷が起こらないからだ。
  • 子宮全摘は、確かにポリープの再発もなければ、その後の子宮悪性腫瘍の発生の可能性もない、が、コスト、侵襲面での問題がある。
  • 患者さんとよくよく相談したうえで、上手に使い分けていくべきだ。
  • 症状のあるポリープは閉経前後に係らず切除されるべきだ。
  • 特に閉経後有症状の場合には、前癌病変や悪性の可能性も考慮し、病理学的検索が重要である。

といった内容となっております。
まあ、このガイドライン自体は基本的に「内視鏡屋さん」のものなので、「内視鏡万歳!」といった内容になっているわけですが、少なくとも
「取って悪いことはない」
「取るならちゃんと子宮鏡で覗きながら取りなさい」

というわけですな。

個人的な感想では(え?僕の感想なんて要らないですって?ショボーン)、「鉗子」でのポリープ切除術の摘除率が予想以上に低いなぁ、と思いました。
何て言うんでしょうが、鉗子でポリープなりを「掴んだ!」という「感触」というか、「手に伝わってくる感じ」というのがあって、慣れてくると何となくわかるようになるのですが・・・。

あと、知人(Dr)で、ポリープを見つけると、「chemical curettage」と称して、消退出血を3周期起こさせる(ただし、使うお薬にこだわりがある)ことをよくやってる先生がいます。
結構きれいになるようなのですが、このガイドラインでは否定的のようですね。

ま、引き続き、「子宮内膜ポリープ」に関する論文も、有益なものがあったらご紹介してまいりたいと思います。
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Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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