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0PNや1PN由来胚はどのように扱うべきなのか?

体外受精(顕微授精)のstepで、採卵翌日に「PNチェック」と呼ばれる行程があります。
PNとは「前核(pro-nuclear)」のことで、通常、精子から1個・卵子から1個出てくるので2個見えます。
で、「前核が2個見えました」というのを「2PN」と表現し、これを「正常受精した」と判断し、2PN由来胚を通常胚移植の対象とします

これに対し前核が3個見えてしまう場合(3PN)があります。
前核が3個になってしまうのは、顕微授精では第二極体放出不全により、体外受精では多くの場合2精子受精(精子が2個受精してしまうこと)によって生じると考えられています。
なので、3PN胚は通常胚移植の対象とはしません

で、問題なのは、前核が1個しか見えなかった場合(1PN)や1個も見えなかった場合(0PN)です。
こうした0PNや1PN由来胚はどのように考えればいいのでしょうか?

恐らく今日、基本的(古典的?)な考え方としては、
  • 0PN由来胚(第2極体の放出が認められるもの)は雌雄前核が融合した後の状態か、または前核が見えにくい場合と考えられていて、一応胚移植は可能と考えられていると思います。
  • 1PN由来胚は、体外受精では、正常受精しているものの前核形成の時期がずれている可能性があり、胚移植は可能。顕微授精では単為発生の可能性が高いと考え、移植の対象にはしない方がいい。
という考え方が主流なのだと思います。
(いろいろ意見があるところかもしれません。)

そんな中、非常に興味深い文献を見つけたのでご紹介してみたいと思います。

に載っているP-23にこんな発表が載っています。


Euploidy rates for day3 apronuclear (0PN) and unipronuclear (1PN) embryos
  • ICSI後のPN checkで、0PN胚:313個(18.3%)、1PN胚:71個(4.1%)、2PN胚:1300個(75.9%)、3PN胚:29個(1.7%)の胚を対象とした。
  • これらの胚のうち、day3まで発育した胚の0PN由来胚:26個、1PN由来胚13個、2PN由来胚1085個のPGSを行った。
  • 染色体は正常であった確率は0PN胚:23.1%、1PN胚:30.8%、2PN胚:30.0%であった。
  • これら3群間で、染色体正常率に統計学的有意差は無かった。
  • 今回の検討から、0PNや1PN胚は、分割してくれば2PN胚と同等の染色体正常率であった。よって、0PNや1PN由来胚は、分割してきて平均的なグレードになるなら、ETの対象とすべきである。


おお!すげえ!
0PNや1PN由来胚は、分割してくれば「キニシナイ」でOK!と。

・・・ICSI由来の1PN使っちゃダメとか・・・・。
オイ!

そんなわけで、"古典的な常識破り"の発表でございます。
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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