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帝王切開瘢痕症候群による続発性不妊症(1)

「いつから人類は腹から出産するように進化したんだい?」

昔、周産期を専門とする先輩が皮肉たっぷりに言った言葉です。
僕が研修医だったころは、今に比べると遥かに「なるべく経腟分娩で」という考え方が強かったのです。

一方、現在の産科医療現場では帝王切開率が上昇している、と言われております。
確かに、僕が研修医だったころは普通に経腟分娩をしていた状態が、今では当然のように簡単に帝王切開が行われているのも事実だと思います。
いろんな力が働いた(働いてしまった)結果生まれた現状なのですが、ま、今回の話題は別にこの点を議論したいわけではありませんのでこれぐらいにして、とにかく帝王切開が増えておるわけです。

日常診療で、超音波で子宮を観察させていただく時、一目で「あ、帝王切開後だ」とわかる場合があります。
子宮に、帝王切開で切開する位置に特徴的な「傷」が存在するのです。
そうした傷が明らかに薄かったり、場合によっては「子宮筋層欠損」と表現してもいいような状態の時があります。

もちろん、分娩周辺期の伸展した子宮を切開・縫合しているわけで、どんなに慎重に丁寧に縫合しても完全には防止できる筈もなく、報告によると、帝王切開後の約7%*にこうした「帝王切開後の陥凹性瘢痕」が認められるようです。
で、この「帝王切開後の陥凹性瘢痕」に伴い、色々な症状・状態が発生することが知られています。
例えば月経後に少量の出血が続く場合や、妊娠した時にこの傷に着床してしまう場合(帝王切開瘢痕部妊娠と言います)、妊娠継続中に子宮破裂が心配されるもの(切迫子宮破裂)などが挙げられます。
このように「帝王切開後の子宮の傷が原因となって様々なトラブルを生じるもの」を、「帝王切開瘢痕症候群」と呼ぶようになりつつあるようです。
そしてこの帝王切開後の陥凹性瘢痕が、いわゆる「二人目不妊」の一因となっているのではないか?と考えられるようになってきています。

【続く】

* 日本産科婦人科学会誌 66(6) 1442-





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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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