Entries

帝王切開瘢痕症候群による続発性不妊症(3)

帝王切開後陥凹性瘢痕を認める不妊症患者の体外受精成績
木下ら、日本受精着床学会誌 32(1): 93-97, 2015


<検討1>
  • 帝王切開後、子宮創部の陥凹性瘢痕また粘液貯留を認める29人を対象に検討。
  • 胚移植は133回、うち、臨床的妊娠は29回(21.8%)
  • 29人中20人(68.9%)が臨床的妊娠に至った。
  • 一概に粘液貯留と言っても、数周期観察していると周期ごとに貯留パターンが変化することがわかった。
  • その貯留パターンを、(a)瘢痕部に限局、(b)瘢痕部~子宮頸部、(c)瘢痕部から逆流して子宮体部まで、に分類して検討した。
  • この結果、(a)、(b)では臨床的妊娠が確認できたが、(c)は確認できなかった

<検討2>
  • 1児目、2児目ともにETで妊娠したのは17例。
  • 2児目は、粘液が子宮体部に逆流している周期(c)は移植キャンセルとしながら、(a)、(b)となった周期のみETを行った
  • その結果、1児目が臨床妊娠に至るまでの胚移植回数は3.24回(55周期/17症例)、2児目が臨床妊娠に至るまでの胚移植回数は3.71回(63周期/17症例)であった。
  • 粘液貯留の範囲に注意し、実際にETする周期を選択すれば、帝王切開前後での臨床妊娠までの移植回数には有意差がない。(!!)

<検討3>
  • 29歳の帝王切開瘢痕症候群による続発性不妊症例。
  • 腹腔鏡下瘢痕切除術が行われたが、術後も再度子宮内腔に粘液貯留が出現し、症状の改善には至らなかった。
  • HRTを工夫しながら、体部に粘液貯留が無い周期の到来を待ってETを行ったら臨床的妊娠が成立した。(結果的には残念ながら流産になってしまった。)
  • 粘液が常に子宮内腔に毎周期たまってしまう重症例に対し、手術療法の報告があるが、手術の有効性には未知な部分が多く、今後の検討待ちである。

<考察>
  • もともと帝王切開後の症状で悩んでいる患者にとっては再度手術をするという厳しい決断が必要となり、納得できる十分なデーターの集積が重要である。
  • どの時点で外科的手術の適応となり、どの時点で患者に外科的手術の説明をするのかが今後の課題である。
  • 粘液貯留が存在する場合でも移植時期を選択し決定すれば、胚移植の回数は増やさずに治療開始した患者の多くが妊娠を経験していることが今回明らかとなった。

おおお!!!
何と感動的な!!!

何より、
「来周期は溜まらないかも」
「次こそは溜まらないかも」
と、じっと患者さんに寄り添って、いい周期が来るのを待っている筆者の先生達のお人柄が伺える素晴らしい論文ですね。
臨床医たるもの、かくありたいものです。

帝王切開瘢痕症候群に関しては、2014年の日本産科婦人科学会誌にも以下の如く記されています。

「今後は、不妊症例を経験した施設に対して、その症状、所見、診断法、治療法などについて個別調査を開始し、本病態に対する実情をさらに詳細に取りまとめ、将来の指針作りに役立てる予定である。」

どうなっていると問題なのか?
どう対応すればいいのか?
どうなっていれば手術をすべきなのか?
手術はどうやればいいのか?
手術の有効性はどの程度なのか?

まだまだこれから指針が作られていくような状況のようです。

これにてこの話題一旦おしまい。




【以下告知】

★体外受精説明会(ARTコーディネート)★
・体外受精・顕微授精をお考えの方への説明会です。
【7月開催分】
日時:2016年7月23日(土)18:30~20:00
場所:武蔵野プレイス 3階「スペースC」
(予備日(上記日程でご都合が付かない場合):7/10(日)10:30~クリニック内で予定しています)
予約:クリニック受付までお問い合わせください。
スポンサーサイト

コメント

[C249]

こんにちわ。
去年12月に帝王切開はんこん部の修復手術したものです。
てっきり不妊がなおり、移植に期待しようと思っていた矢先に先生に再発したと言われかなり凹んでいました。
4月に自然妊娠し、そのあと流産になってしまったのですが次の移植に向けて見てもらったら、粘液がはんこん部から子宮に流れている状況です。
子宮に貯まっているわけではないと言われましたが、こういう状況だと移植は難しいでしょうか?
この記事を読んで、もしかしたら可能性があるのかなと嬉しい気持ちになりました。
ありがとうございます。

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

カウンター