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プロラクチン道、始めます!(11)

久々に「プロラクチン」の話。
今までの話のまとめとして、僕は個人的には
「月経周期が順調なのに、採血するとプロラクチン値が高い場合、それだけでプロラクチン値を下げてしまうのはおかしいと思っている。逆に妊娠率を下げている可能性もあるのではないか?」
と思っている、という内容の話を延々としてきました。
(今までの話の内容は、本ブログの左側の「カテゴリ」より「プロラクチン」を選んで下さい。)

「採血してプロラクチンが高いこと」
が不妊の原因となるわけではなく、
プロラクチンが高い→下垂体がらのゴナドトロピン(FSH/LH)の分泌が規則的でなくなる→稀発月経/無月経/黄体ホルモン分泌不全になる→不妊になる
というドミノが存在しているはずで、
「プロラクチンが高い、けど月経周期は順調」
というのは、
「採血でプロラクチンが高く出てしまう理由があるはずだ」
「それがマクロプロラクチンであり、生理的な上昇なのだ」
なので、介入は不要ではないか?いや、むしろ害ではないか?と考えているのだ、
という理論を展開してきました。
この考えが正しいのかどうかは知りませんよ。単なる1ヤブ医者である僕個人の考え方でしかありません。信じる信じないは自己責任でお願いします。

では、そもそも何でプロラクチンが高くなると月経不順/無月経になるのでしょう?
月経周期というのは、脳下垂体から周期的にFSH/LHが分泌されて起こっているのはご存じの通りです。
「体内時計」と言いますか、僕がいつも患者さんを拝見している時には「メトロノーム」を思い浮かべています。
「カチ・カチ・カチ・カチ・カチ・カチ・・・・・」
と極めて規則的に動くメトロノームですね。
これに従って、脳下垂体は極めて規則的にFSH/LHを分泌していて、月経周期が作られています。

この月経周期のメトロノームの役をしているのが、「視床下部」というところにある「GnRHニューロン」という細胞で、神経細胞ですね。
視床下部からまるで「手を伸ばす」ように下垂体のFSH/LH分泌細胞に「FSH/LHを出せ」という命令を送っています。
この「命令」に相当するのが、GnRHというホルモン(ペプチド)ですね。

つまり、女性の脳には、完璧な月経周期を作り上げる高性能のメトロノームである「GnRHニューロン」というのが存在していて、この神経細胞が、狂うことなくひたすら正確に時を刻んでいるわけです。
で、その結果、順調な月経周期が刻まれているわけです。


月経不順である/生理がこない、ということは、このメトロノームが何らかの原因で正確に動けていない/止まっちゃっている/変な動きをしているというわけです。

そんなわけで、女性の体というのは実によくできています。
「生理は順調に来てますか?」
「はい。28日周期できています」
という何気ない会話なのですが、この会話の結果、僕にはその患者さんのメトロノームが正確に(健康に)時を刻んでいる音が聞こえます(←幻聴じゃないですよ!!)

逆に「生理不順です」と言われると、正確に動けていないメトロノームの音が聞こえそうです。
そんな時には「早く」時を刻んでいるのか、ゆっくりなのか、はたまた全く動いていないのか?など、「耳を澄まして」聞き取ろうと努力をするわけです。それが超音波であったり、採血であったりするわけです。

・・・・・まあ、この辺は「臨床カン」なので、あまりうまく表現できませんが。

話が飛びました。
で、この「GnRHニューロン」という正確なメトロノームを「いじくっている(動かしちゃう?)」システムというのが、最近明らかになりつつあるのです。
その名も「キスペプチン」という、これまた艶めかしい名前の物質です。
今、世界中の内分泌学者が懸命に研究中の内容で、多分、数年後の生殖内分泌の教科書を書き換える大発見だとされています。
で、どうやら、この「キスペプチン」という物質が「高プロラクチン血症でなぜ月経不順/無月経になるのか?」というメカニズムを解明するカギになっているようなのです。

この後、この辺の内容について説明してまいりたいと思いますので、ご興味のある方はお付き合いください。
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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