Entries

着床の面から不妊治療を再考察してみる(1)

過日、順天堂大学の黒田先生のご講演を聞く機会に恵まれました。
着床障害~習慣流産の話だったのですが、いや、これが非常に勉強になりました。
まだ正直消化不良な部分もあるのですが、不妊治療の考え方を再考察せねばならないような内容だったので、僕なりに消化しつつ、考察してみたいと思います。

【子宮内膜は胚を選択する能力を有する】

こんな論文があります。で、図はこの論文のFigure 4から取ってきました。

この写真は何をやっているかというと、正常な妊孕能を有する女性の子宮内膜細胞を採取し、ディッシュの上で培養後、脱落膜化させてスリットを作ったそうです。
スリットが図の点線の所ですね。
で一番左のAは何も置かない(コントロール)、真ん中のBは質の良い胚盤胞を、一番右は質の悪い胚(3PN由来)を置いたそうです。
で、その後、そのスリットの部分がどうなるか?を観察したそうです。

AとBは境界線から内膜細胞がスリット内に出てきていますが(論文にはmigrationと記載されています)、質の悪い胚を置いたCには内膜細胞が寄ってこないのですね。

質のいい胚は内膜がまるで「包み込むように」迎えに行くわけですが、質の悪い胚は「無視」しているかのようです。



そんなわけで、子宮内膜脱落膜細胞には「イケてる胚」は迎えに行き、「イケてない胚」は無視する、という能力があるようだ、というわけです。

のFigure 3の一部を抜粋してみました。
この図は何をやっているか?というと、子宮内膜細胞を培養し、脱落膜化させたのちに胚を乗せたそうです。
で、その胚の発生が止まってしまったものが「Arr」、順調に発生したものが「Dev」、で、胚を乗せなかったものが「Con」とのことです。
で、子宮内膜細胞から分泌される、着床にかかわる炎症性マーカーの濃度を見てみた、というわけです。
すると、コントロールと順調に発生した胚を乗せた場合は、これらの炎症性マーカーがちゃんと分泌されるのに、イケてない胚の場合はこれらのマーカーが分泌されない、というわけです。



このような感じで、どうやら子宮内膜は胚の質を見極めて、イケてる胚は受け入れて、イケてない胚は受け入れない、といった感じで着床させる/させないをコントロールしているようだ、というわけです。

おおお!すげい!
子宮内膜は赤ちゃんになりそうな胚はきちんと受け入れて、赤ちゃんになれなさそうな胚はそもそも着床させない、ということを見極めているようだ、というわけです。

相変わらず、生体の生理は実に感動的によくできているものです。

続く
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

カウンター