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着床の面から不妊治療を再考察してみる(2)

(最近、シリーズものを書くと、あっちゃこっちゃに話題が飛んで、あとから読み返すと続きがどこにあるんだか自分でもわからない状態ですので、目次を作ることにします)

【目次】
そんなわけで、子宮内膜というのは実によくできていて、ちゃんと赤ちゃんになってくれそうな胚は温かく受け入れて、逆に赤ちゃんになってくれそうにない胚は拒絶し着床させないような能力を有しているようだ、というわけでした。

凄い感動的なメカニズムですが、実はこれ、もしかしたら不妊治療を行っていく上では非常に重要な現象となっている可能性があります。
例えばこんなシーン

【2胚移植は「1+1」ではないかもしれない】

例えば、41才の方で5AAと3CBの凍結胚盤胞2個があったとします。
胚移植を行う際に、条件が整えば2胚移植が許容されていて、この方は1個移植でも2個移植でも可能なわけです。
この場合5AAの1個移植を行うと、3CBが1個残ってしまう。
「形態不良胚1個残してもなぁ。」
「どうせなら、2個とも戻しちゃおう!」
と2個移植を選択することもあるかと思います。
皆さんならどうしますかね?


こんな学会発表があるそうです。
2013年のASRM(アメリカ生殖医学会)の発表でです。
リンク先の左側のP-498です。
要点を書きだしてみると・・・・
  • 胚移植をするとき、2個目の胚の存在が着床に対しプラスに働くかマイナスに働くか?働くならその胚の質の影響があるのか?を検討してみた。
  • 2胚移植をすると、計算される推測値より単胎妊娠に至る確率は低く、妊娠しない場合と双胎妊娠に至る確率は高くなった。
  • 移植する2胚の形態的格差が大きい場合には、胚盤胞では着床率が低下していたが、初期胚では有意差は無かった。
  • 良好胚は一緒に移植された胚の着床率を上げ、不良胚は一緒に移植された胚の着床率を下げるのかもしれない。
  • 不良胚は子宮内膜の拒絶反応を引き出してしまうのかも知れない。
  • 胚移植をする際、移植胚の選定はこのような相互反応を考慮に入れるべきである。


2014年のESHRE(ヨーロッパ生殖医学会)の発表でも似たような発表のようです。
  • 形態良好胚盤胞1個移植 妊娠率:53.1% 着床率:53.1%
  • 形態不良胚盤胞1個移植 妊娠率:35.6% 着床率:35.6%
  • 形態良好胚盤胞+形態不良胚盤胞2個移植 妊娠率:57.7% 着床率:31.3%
  • 形態不良胚盤胞2個移植 妊娠率:48.8% 着床率:26.8%
ということで、形態不良胚盤胞は形態良好胚盤胞の足を引っ張ってしまうようだ、というわけです。


つまり、形態不良胚に内膜が反応して、
「この子は着床させない!」
という風に拒絶してしまうと、本来は赤ちゃんになるべき形態良好胚も巻き添えで拒絶されてしまう可能性がある
、というわけです。

最初の例のような場合、どうやって胚移植すべきか?よくよく頭を使わなければなりませんねぇ。




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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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