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着床の面から不妊治療を再考察してみる(3)

【目次】


【子宮内膜の胚選択能が正常に作動しないと・・・】

さて、本シリーズ(1)で、【子宮内膜は胚を選択する能力を有する】と考えられている、とお話ししました。
つまり、子宮内膜は赤ちゃんになりそうな胚は包み込むように受け入れて、赤ちゃんになれなさそうな胚は拒絶し着床させない能力を有しているようだ、という話でした。

で、そこでご紹介したの論文の図には続きがあります。
実は、本シリーズ(1)では図の上半分だけ切り取って紹介しました。
今日はこの図の全てをご紹介します・

再度解説しておきますと、子宮内膜細胞を採取し、ディッシュの上で培養後、脱落膜化させてスリットを作って、一番左は何も置かない(コントロール)、真ん中は質の良い胚盤胞を、一番右は質の悪い胚(3PN由来)を置いたわけです。
で、その後、そのスリットの部分がどうなるか?を観察した、というものでした。

で、上の段は「正常な妊孕能を有する女性」の子宮内膜で、AとBは境界線から内膜細胞がスリット内に出てきていますが、質の悪い胚を置いたCには内膜細胞が寄ってこないのでした。

こうして質のいい胚は内膜が迎えに行くわけですが、質の悪い胚は拒絶するわけです。

で、この図の下の段は「RM」= recurrent miscarriage、つまり不育症患者さんの子宮内膜だそうです。



何が違うのか、というと、CとFなわけです。
C、つまり、正常な妊孕能を持つ女性の子宮内膜は、質の悪い胚には手を伸ばさず拒絶するわけです、が不育症の方の子宮内膜は、Eの質の良い胚と同様に、Fの質の悪い胚も迎えに行っちゃっているわけです!

これは動画で見ることもできます。

のVideo S2の方ですね。
3PN胚を迎えに行っちゃってます。

ここにも記載されている通り、

Endometrial Stromal Cells of Women with Recurrent Miscarriage Fail to Discriminate between High- and Low-Quality Human Embryos.

とのこと、つまり、子宮内膜が質の良い胚と悪い胚を見分けることができなくなって、「なんでも受け入れちゃう」状態になってしまっているわけです。

不育症は「元気な赤ちゃんになる運命の正常な胚をなぜか流産させてしまう」と考えがちですが、実は一部は「本来着床させるべきではない、そもそも赤ちゃんになれない胚すらもバンバン受け入れてしまっている。でもそうした胚は当然赤ちゃんになれないわけで必然的に流産してしまっている」という状態がありうる、というわけです。

つまり、「着床不全」とは正反対の「着床過多」が不育症の一因なのかも知れない、というわけです。

続く
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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