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健康行動への介入に関する心理学的理論(1)

昨日、「『痩せ』の対応(介入)は難しいのです。」というお話をしました。
他にも同じような話はいくつもあるわけです。
・禁煙したほうがいい
・体重コントロールしたほうがいい
・食生活を改善したほうがいい
etc etc
保健医療的に、いわゆる「健康的な生活習慣」を行ったほうがいい、というのはわかる。
「わかっちゃいるけどやめられない」
というわけですな。

で、僕らの立場でも
「何でこの人禁煙してくれないんだろう?」
「何でこの人ダイエットしてくれないんだろう?」
「絶対そのほうがいいのに。」
となるわけです。
(・・・・ま、僕もあまりヒトのこと言えるほど偉くはないのですが。)
だからと言って、イライラしたり、匙を投げてばかりでは「ヤブ」を通り越して「土手医者」になってしまいます
せめて「ヤブ」止まりでいたいものです。(ちなみに「ヤブ」は「向こうを見通すのに完全には見通せない状態」、「土手」は「全く見通せない(見えていない)」という意味だそうです。)

で、こんな状況を理論的に解釈する学問が存在します。
それが心理学ですね。
ただし、実際にこの心理学的解釈を始めると、なんか「ヒト対ヒト」、人間臭さを味わうという医療の醍醐味が薄らいでしまうようで、個人的にはあまり好きではないのですが、まあ、でも、この知識がある分冷静に分析できているシーンも多々あるのも事実なので、少しだけご紹介してみようかと思います。

えーと、上記のような、
「健康的な生活習慣」を行ったほうがいい、でも「わかっちゃいるけどやめられない」
という状況(難しい言葉で書くと「健康行動の変容に関する理論」)を心理学的に体系化したのが、1983年にプロチェスカとディクレメンテによる「理論横断モデル(transtheoretical model)」という奴です。

例えば、今僕もやっている「ダイエット」を例にとりましょうか。(そもそもは、喫煙行動で展開された理論だそうですが、同じことです。)

まずは、「肥満である」から「ダイエットを実行する」に至る段階を心理学的に5つの段階に分けるそうです(変化ステージと呼びます)。
  • 無関心期(pre-contemplation):半年以内にダイエットを行おうという意図がない時期
  • 関心期(contemplation):半年以内にダイエットを始めようと思っている時期
  • 準備期(preparation):一か月以内にダイエットを始めようとして、実践する準備ができている時期
  • 実行期(action):半年未満であるが、ダイエットを実際に行っている時期
  • 維持期(maintenance):ダイエットを行って半年以上継続している時期
で、目の前の人が今どの段階にいるのかを判定します。
で、変化ステージがわかったら、その時期に対応した支援(介入)を行う、というものです。
具体的な介入方法は次回(2)でまとめます。

皆さん、職場の検診の問診票などで、「半年以内に改善しようと考えている。 ○ or ×」とかなっているの見たことありませんか?
「何じゃこりゃ?大きなお世話じゃ!」とか思うかもしれませんが、実はこの問診票も、この「理論横断モデル」を元に作られているのです。
知ってました?
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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