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Assisted Hatchingに対する考察(9)

「いろんなところでアシスティッド・ハッチングをやっているのに、何でここはやらないんですか?」

と、今日も言われてしまいました。orz
泣きそうです。

いや、やってもいいんですよ。やっても。
お一人2~3万円ぐらいですか?
正直言っちゃえば、打ち出の小槌ですし。
あっという間にpayするでしょうし。
(正直すぎるところか悪いところです。)

でも、できないよ。
「出生率(←注:『妊娠率』ではない!)=take-home baby rateを上昇させる」という明確なエビデンスが今のところないのよ。
いや、着床率は上がるのよ。
「hCGはプラスに出やすくなる」のよ。
でも、「take-home baby rateを上昇させる」というエビデンスは無いのよ。
むしろ「流産率を上昇させてやしないか?」「多胎妊娠率を上昇させてはいないか?」と疑われてるのよ。
下手すっと、「diminished odds of live birth」なんて論文もあるのよ。
「善」とは証明されていないのよ。
いや、むしろ悪かもしれないのよ。
かなり怪しいのよ。
できないでしょ?
ましてお金取ってまで。
悪かも知れない手法でお金取ってBM乗る位なら、手を出さないで寒空の中自転車乗るし。

世界中のガイドライン読んでも、
「アシスティッド・ハッチングバンバンやれ」
なんて書いてあるの、見たこと無いし。
できないっしょ。

で、こちら。2015年の総説論文。
読んでみてください。の247ページですかね。

• Assisted hatching (AH)
AH or artificial rupture of the zona pellucida is being practiced to improve implantation since the late 1980s, still there is no consensus on its use.
Chemical or laser-assisted hatching has been proposed to help a hardened zona break and create channels for exchange of metabolites, growth factors and signals between the embryos and endometrium.
AH has not shown to be beneficial in unselected or good prognosis patients (Martins et al., 2011).
No advantage was observed in women with advanced age either.
A systematic review of 28 studies found higher CPRs in the subgroup of patients who had previous IVF failure(s) (Martins et al., 2011).
A Cochrane review of 31 RCTs found a significant but marginal improvement in CPRs (OR 1.13, 95% CI 1.01 to 1.27) with AH, but no difference in the LBRs (OR 1.03, 95% CI 0.85 to 1.26) (Carney et al., 2012).
The included studies were significantly heterogeneous while analysing overall CPRs; the heterogeneity was low in the comparison of LBRs (where no difference was observed).
Although higher CPRs have been noted in the sub-group of women who had AH due to previous IVF/ICSI failure, it was concluded that the evidence is insufficient to offer AH in the above group of patients (Carney et al., 2012).
Both the above meta-analyses identified significantly higher multiple pregnancy rates with the AH technique.
A retrospective study of a large data-base (422,949 fresh first ICSI cycles) from the United States found lower LBRs with AH when performed because of diminished ovarian reserve (Butts et al., 2014).
Until a proven beneficial effect of AH on LBRs is established, AH should not be offered.

「should not be offered」ですよ。「should not be offered」
できないっしょ。
そんなわけで将来的に、「出生率(←注:『妊娠率』ではない!)=take-home baby rateを上昇させる」という明確なエビデンスが出無い限り、僕は絶対に手を出さないと心に誓っているわけですよ。
「悪霊が付いてます。このツボを・・・・」
「固くなってます。ここに穴を・・・・」
ねぇ。

「武士は食わねど高楊枝」
ですよ。
(だからいつまで経っても貧乏なんですwwww)


因みにこの点は過去にも論じておりますので、ご参照ください。



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コメント

[C310] Re: タイトルなし

そうですね。
「医療」と「妖術」は本当に紙一重で、違いは唯一「科学的根拠(エビデンス)」に基づいているかどうかだけなわけです。

「壺」を買った群v.s.買わなかった群である疾患の回復度が有意差ありなら、「壺販売」も「医療」足り得るわけです。
「穴」開けた群v.s.開けなかった群でLBR(live birth rate)に差がないなら、それは「医療」ではなく「妖術」。
医者のやる仕事ではない。
まして、「穴」開けた群でLBR(live birth rate)が低下したり、副作用が増したりするのなら・・・・・。
  • 2017-01-29 17:46
  • ドクターI
  • URL
  • 編集

[C309]

岩本先生のAHAに関するブログを見た後、試しに手元にあるいくつかのクリニックのパンフレットを読み返してみました。
こうして見ると、クリニックによって見解が違うなぁと思いました。「世界的に有効性が証明されていないので行っていない」というクリニックもあれば、「凍結、高齢、高FSHは透明帯が硬くなる傾向にある。」「切開、レーザーは胚に影響が及ばない。」など・・。
患者としては、少しでもチャンスを広げたいと思う心情もありますが、目指すは出産ですよね!
引き続き、先生のブログで勉強させて頂きたいと思います。
  • 2017-01-28 21:56
  • カカドン
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Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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