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健康行動への介入に関する心理学的理論(3)

さて、今日は、「健康信念モデル(Health Belief Model)」について解説してみたいと思います。
これまた確かによく考えられていて、色々なシーンで使えます。

そもそものきっかけは、アメリカでの検診から始まったそうです。
無料同然の検診をやってもなかなか住人は参加してくれない。
どう考えても受けたほうが得すると思われるのに。なぜだろう?

この現象を社会科学的に解釈したのが「健康信念モデル」なのだそうです。

例えばここでは食事コントロールを例にしてみましょう。
食事コントロールをするかどうか?
ヒトの行動は以下の4つの信念に影響を受けると説明されています。
  • 食事コントロールをしなければどうなるの?
    • 私は糖尿病になるかもしれない(主観的罹患可能性
    • 糖尿病は大変だ(主観的疾患重篤度
  • 食事コントロールをしたらどうなるの?
    • 食事に注意すれば、糖尿病にならなくて済むかもしれない(主観的利益
    • 食事のコントロールは面倒だ(主観的負担感または主観的障害
    • で、この4つの信念を元に葛藤が起こるとするわけですね。
      で、「危機感の大きさ」と「マイナス面がプラス面を上回った場合」という2つの条件が整うと、初めて行動受容が起こる、というわけです。
      (この場合なら「糖尿病への個人の感じる危機感」と「糖尿病を回避するという利益が食事療法をするという負担感に勝った場合」という2条件)

      つまり、ごくごく簡単にいうと言うと、ヒトは「面倒くささ」v.s.「結局そのほうが自分の利益」で葛藤して、「自分の利益」が勝って初めてその行動に出るのだ、というわけです。
      う~~~む。なるほど。
      (この辺が、なんか見透かされているような感じがして、個人的にこの辺の学問が嫌いな所です。)

      で、個人個人には感じ方がいろいろあるわけです。
      同じBMIでも「ヤバい」という人もいれば「ヘッチャラ、ヘッチャラ」という人もいる。
      で、この「ヘッチャラ」組を何とか「ヤバい」組に持っていきたいと考えるわけです。
      その具体的方策がさらに2つついて、この理論が完成する、というわけです。
      • 行動促進因子への暴露
        • 「準備段階」から踏み出すための要因
          (つまり、危機感↑、利益↑、負担感↓に持っていくためのプログラムということですな)
      • セルフエフィカシー(self-efficacy;自己効力感)
        • 行動をとることへの自分の能力への自信
          (平たく言えば「やればできる」という感情をいかに盛り上げるか?ということです。よく言えば「その能力がある」と自覚させてあげること、なわけですが・・・・、使いようによっては・・・・。一種の催眠状態に持っていくこともできてしまいます。悪用されるといけないので、具体的方法はここでは書きません。興味のある方は、ググってください。)
      以上6個の構成要素により個人個人の行動受容が決まり、変化する、という論理体系です。

      ちなみに、最後に出て来たセルフエフィカシーについて少しだけ触れておきます。
      裏話になってしまいますが、例えば、40代中盤の方が、「ARTを考えている」といらっしゃったとします。
      このシーン、実はインフォーム(情報提供)の段階でこのセルフエフィカシーの原理を使うと、ある程度どちらにでもベクトルを向けることができてしまいます(チョイス(選択)を動かすことができてしまいます)。
      あまり深くお話ししてしまうと、どこかから怒られそうなので止めておきますが、そんなわけで皆さんは是非冷静中立に賢く判断してくださいね。
      (僕は基本的に皆さんの味方です!)
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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