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「ステップアップ」の人工授精、どうよ?(2)

昔、誰だったか、先輩に
「末期癌の緩和ケアは『藪医者』になれ!」
と教わったことがあります。
「藪医者療法」とは、対症療法の事で、すなわち、痛かったら痛み止め、痒かったらかゆみ止め、眠れなかったら眠剤、便秘なら下剤などなど。
「原因検索はとりあえずおいておいて、まずは対症療法をせよ」
というわけです。
非常に理にかなった教えでした。



さて、そんなわけで原因不明不妊の患者様に対し、タイミング療法→人工授精に変更することを「ステップ・イコール」と呼ぶことに決定したわけですwww。

というか、正直「的外れ」なわけです。
そこじゃない。
「藪医者療法」にすらなっていません。

NICEのガイドラインを見てみましょう。

人工授精(正式にはIUI)の適応は何と書いてありますかね?
You may be offered IUI if:
の所です。
  • 性交渉を行うことが困難な場合
  • 性行為感染症を有する場合(管理人注:おそらく主にHIVを想定しています)
  • 同性愛者

で、
When intrauterine insemination should not be offered
はどうですか?
  • unexplained infertility(原因不明不妊)
  • a low sperm count or poor‑quality sperm(精子の数が少ないか質が悪い)
  • mild endometriosis(軽度の子宮内膜症)
ね?
should not be offeredよ。should not be offered
なぜ「should not be offered」かもちゃんと書いてある。
because it has not been found to increase your chances of getting pregnant
「妊娠率が上昇するという根拠がないからだ」
とのことですよ。

じゃあ、これらの人はどうすればいいのか?もちゃんと書いてある。

In these circumstances, you should be advised to keep trying to conceive through regular unprotected sexual intercourse for a total of 2 years (this can include 1 year of trying before you had your fertility tests). After this time you may be offered IVF.

ね。
2年経ってたら即体外だって。
ステップアップでIUI(みんなが言うAIH)をやれ、なんて一言も書かれていない。

「ステップアップで人工授精やってみる」
もう「藪医者療法」(=対症療法)にすらなってないっす。

【続く】
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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