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「治療」を提供する医師でありたい~臍帯血輸血に思う(1)

美容目的や癌の「治療」目的に、臍帯血を患者に投与したという件がニュースになっている。
基本的にマスゴミの姿勢は批判的な様子。
「ふざけた(?)治療行為を行って、患者さんから利益を得た。あり得ない!」
という報道の様子。
ま、そりゃそうだわな。
常識的な医学を修めた医者が、(少なくとも)今日行うのはどう考えてもマズい。

では、なぜ、この「臍帯血の投与」が非難を浴びるのか?その構図は
  • 科学的根拠(エビデンス)のない、あるいは逆に害を及ぼしかねない(安全性の確認されていない)医療行為を『治療』と称して提供して、その対価を得た
ということになるわけです。
仮にこの「臍帯血投与」に、本当にstageⅣの癌がCRになる、本当に美容的効果がある、本当に髪の毛が生えてくる(笑)、かつ、安全性が保障されている、というのなら、ニュースになった「お医者さん(?)」達は『名医』なわけです。

つまり、医者が提供する『治療』が『治療』として認められる所以には、唯一「科学的根拠(エビデンス)」があるから、ということになるわけです。

詐欺なのか治療なのはは紙一重。唯一「科学的根拠に裏打ちされているかどうか?」

不妊治療の世界にも、科学的根拠(エビデンス)のない、あるいは逆に害を及ぼしかねない(安全性の確認されていない)医療行為を『治療』と称して提供して、その対価を得ている可能性が否定しきれない行為はいくらでもあるわけです。
AIH大丈夫ですか?assisted hatching大丈夫ですか?PGS大丈夫ですか?ヘパリンだのバファリンだの大丈夫ですか?ビタミンなんちゃら大丈夫ですか?etc etc
「臍帯血投与」になっちゃってませんか?

「エビデンスがある/ないではないんだ。少しでも可能性があるならやるんだ!」

「臍帯血投与」のお医者さん(?)も同じこと言いますね。多分。
宗教家が信者に施すなら許されるのかも(?)しれませんね。


にいいこと書いてあります。

Globally, IVF patients are routinely offered and charged for a selection of adjunct treatments and tests or 'add-ons' that they are told may improve their chance of a live birth, despite there being no clinical evidence supporting the efficacy of the add-on. Any new IVF technology claiming to improve live birth rates (LBR) should, in most cases, first be tested in an appropriate animal model, then in clinical trials, to ensure safety, and finally in a randomized controlled trial (RCT) to provide high-quality evidence that the procedure is safe and effective. Only then should the technique be considered as 'routine' and only when applied to the similar patient population as those studied in the RCT. Even then, further pediatric and long-term follow-up studies will need to be undertaken to examine the long-term safety of the procedure. Alarmingly, there are currently numerous examples where adjunct treatments are used in the absence of evidence-based medicine and often at an additional fee. In some cases, when RCTs have shown the technique to be ineffective, it is eventually withdrawn from the clinic. In this paper, we discuss some of the adjunct treatments currently being offered globally in IVF laboratories, including embryo glue and adherence compounds, sperm DNA fragmentation, time-lapse imaging, preimplantation genetic screening, mitochondria DNA load measurement and assisted hatching. We examine the evidence for their safety and efficacy in increasing LBRs. We conclude that robust studies are needed to confirm the safety and efficacy of any adjunct treatment or test before they are offered routinely to IVF patients.

「ブログいつも読んでます!英語の所は飛ばしてますが。」
という方が多いので(笑)、簡単に要旨を。
  • 体外受精を行う際に、科学的根拠が得られていないけど、「妊娠率を上昇させるかも知れない」と言われ、「おまけの治療」の追加が提案されることがある。
  • 「出産率を上昇させる」という技術は、先ず動物実験でテストされて、臨床試験が行われ、安全性を確認し、最後にランダム化比較試験により効果と安全性が確認された方法のみが提供されるべきである。
  • にもかかわらず、エビデンスが無い付属治療が、追加料金を請求されたうえで行われている。
  • こうしたものの中には、最終的には効果が無いことが証明され、姿を消していく治療法もある。
  • 今回我々は、embryo glueや接着物質を含んだ培養液タイムラプスPGSアシスティッド・ハッチングなどを検証してみた。
とのことです。

「臍帯血輸血をやってください」
という患者さんの存在、不思議になるでしょ?

「アシスティッド・ハッチングやってほしい」
いっぱいいるんだから。

【続く】
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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