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Reproductive Healthの管理も自己責任の時代になりつつあるわけで(2)

続き。今日の内容は「栄養」についてです。

【Impacts of diet and exercise:Nutrition(栄養)】
  • 健康的で変化に富んだ食事を摂取することは、良好な健康状態を保つのに重要である。
  • しかしながら、Reproductive Healthに対して特に重要なビタミンや食事も存在するようだ。
  • 男性では、
    • 炭水化物、食物繊維、葉酸、リコピンなどに富んだ食事や野菜・果物の摂取が精子の質を改善するのに効果があるとされる。
    • 過剰な活性酸素を除去する「抗酸化物質」が有用とされている。
    • しかしながら、研究結果では、抗酸化物質の効果は一定の見解が得られていない。
    • Mendiolaらは、ビタミンCは精子の質の改善に効果があったとしているが、ビタミンEとセレンには効果が無かったとしている。
    • 他には、ビタミンEやセレンがビタミンB以上に活性酸素による損傷を抑制したとする報告もある。
    • Suleimenは、ビタミンEが活性酸素による損傷を抑制し、精子の運動率を上昇させ、妊娠率が上昇したと報告している。
    • ある総説論文(管理人注:Human Reproduction誌2011年掲載)では、特に精子無力症で改善が見られると結論している。
    • コクランでは、妊娠率、出生率が上昇したと報告している。
  • 女性では、食事によって主に排卵に影響が及ぶ。
    (管理人注:この後の内容の「排卵障害」は主にPCOを想定しているようです。そもそもがアメリカの論文なので、その点誤解なきように。)
    • 全般的に動物性蛋白質を過剰摂取している群に排卵障害が多い傾向がある。
    • 一方で、植物性蛋白質を多くとる群には少ない傾向が見受けられる。
    • 一価不飽和脂肪酸(管理人注:代表例オレイン酸。ナッツ類ですかね)の代わりにトランス脂肪酸(管理人注:いわゆる硬化油ですね。食品ではマーガリンとかショートニングとかですか。業務用の揚げ油なんかも融点を上げるために使われていますかね。)を多くとる群では排卵障害が多い傾向がある。
    • マルチビタミンは効果があるようだ。
    • Chavarroらは、トランス脂肪酸より一価不飽和脂肪酸を多く摂取しており、動物性蛋白質より植物性蛋白質を多くとっており、低脂肪よりは高脂肪で、グリセミックロードが低く、鉄分とマルチビタミンを多くとっていると排卵障害による不妊になりにくいとしている。(管理人注:グリセミックロードは、ざっくり言うと、炭水化物の消費量と考えてもいいでしょう。詳しく知りたい方はググってください。)


というわけです。
で、こういうのを見ると、すぐ「サプリサプリ」となる方が多いのですが、違いますよ。
まず、絶対的に必要なのは「バランスの取れた食事」です。これ。絶対。
各々読み解いてみましょう。まず男性側から。
「抗酸化物質」として名前の挙がったビタミンCとビタミンEですが、各々、「日本人の食事摂取基準2010年度版」(←健康増進法により規定されており、厚労省が5年毎に改定しています。)はこちらです。まず、ビタミンCは2ページ目(このファイルの170ページ)の下の方
ビタミンCは野菜や果物から摂取することを基本とし、いわゆるサプリメント類から1g/日以上の量を摂取することは推奨できない
で、ビタミンEは2ページ目(このファイルの131ページ)の上の方
現在の日本人の摂取量(中央値)程度を摂取していればビタミンEの栄養状態に問題がないであろうことを示唆している
です。
ということで、日々の食事から摂取することが大切です(というか、そういう生活習慣、もっと言うと、そもそも気にかけなくても自然にそうなっている状態が理想なのです)。

女性側行きます。
書いてある内容はおそらくPCOを前提としてあります。
アメリカのPCOなので、基本「obese PCO」です。
要するに、誤解なきよう平たい言葉を使ってしまえば
メタボはダメ
ということです。

で、細かい栄養素がたくさん記載されていましたが、いちいちこんな内容に気を配って日常生活を送るのは普通無理です。
但し、栄養学の教科書をひっくり返すと、実にいい言葉が書いてあります。

「BMIが適切な範囲内であれば、摂取量は適切と判断してよい」

だそうです。
つまり、ご夫婦のBMIがきちんと適切な範囲内であれば、栄養状況に関しては、概ね常識的であると判断してよい、とのことです。
よって問題はご夫婦のBMIが標準範囲内に入っていない場合ということになります。
この場合は、適切な栄養(+運動)アセスメントが必要になってくるわけです。

外食の頻度は如何ですか?
魚料理の頻度は如何ですか?
豆腐がメインディッシュになるレシピを何通りお持ちですか?
冷蔵庫の野菜室には多種の新鮮野菜が満ちていますか?

僕も全然人のことを言える状態ではなく、毎日、蛋白質量(およびその質)、脂質量(およびその質)、炭水化物量を大雑把にですが、計算しないとBMIがキープできない生活習慣です。
でも、たとえ大雑把にでも計算して日常を過ごすと、BMIは一応標準範囲内に収まります。
無意識に標準範囲内に収まってしまう生活習慣の持ち主が羨ましいのですが、そうではない点を理解して、ほんの少し行動を起こせるかどうかなのだと思います。
BMIは生活力の成績表ととらえるべきなのだと思います。

そんなわけで、「サプリサプリ」ではなく、まず「日常生活習慣の見直し(食生活のみでなく運動も!)」から始めるべきだと、僕は思うのです。
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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