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なぜ4CC胚盤胞が赤ちゃんになるのか?をドクター『I』流に考察してみる(7)

【今までの経緯】
【あらすじ】
さて、そういうことで、8細胞期頃までは、染色体が正常な割球と染色体異常の割球が入り乱れている場合は多々あり、そうした胚を「モザイク」というのでした。
でも、そうした「モザイク胚」でも赤ちゃんになる可能性があることがあることが知られていて、そのために、染色体異常になってしまった割球(細胞)が、「赤ちゃんになることに極力参加しない」という積極的なメカニズムが存在するのだろう、と考えられているのだ、というわけです。
で、そのメカニズムとは、
  • 染色体異常になってしまった割球(細胞)が自ら察し、「分割を停止する」なり「死ぬ」なりして、赤ちゃんになることに参加しない。
  • 染色体異常になってしまった割球(細胞)を全部TE(将来胎盤になる部分)に集め、ICM(将来赤ちゃんになる部分)は染色体正常な細胞だけを集める。
というメカニズムがあるのだろう、という所まで来ました。

【以下、本日のお話し】
はい。そういうわけで、
「みなさ~~~ん!まだ着いてきてくれていますかぁ?」
www、オタッキー(←死語??)過ぎて、「もうやめようか?」と思わなくもないわけですが、もうしばらくお付き合いを。
今日の話は
  • 染色体異常になってしまった割球(細胞)が自ら察し、「分割を停止する」なり「死ぬ」なりして、赤ちゃんになることに参加しない。
の方の話です。


体外・顕微のスケジュールで、正常受精した胚を培養していくわけです。
で、その過程過程で「分割が停止してしまう」という現象が起こることがあります。
折角正常受精が確認できた(2PN)のに、そこで止まってしまったり、2細胞で止まってしまったりすることもあるわけですが、培養を継続していって最も止まりやすい場所はどこか?というと、day3-4、つまり8細胞期~桑実胚(morula)の所が一番止まりやすいわけです。
おおよそ40%の胚がここで止まってしまうことが知られています。
つまり、「胚盤胞にならない(成れない)」というわけです。
分割を止めた胚を見てみると、割球そのままに止まってしまった(arrest)ものもあれば、「フラグメント(fragment)」というものが形成されていく場合もあります。
おそらくは、染色体異常を起こしてしまった割球が「自ら察した」結果なのだろうな、と考えられるわけです。

どうしてここ、つまり「day3-4」=「8細胞期~桑実胚(morula)の所」=「胚盤胞の直前」で胚盤胞にならず(なれず)にarrestしたりfragmentになったりするのか?というと、そうですね。ちょうどここで「胚の遺伝子」が転写され始め、松田優作バリの
「何じゃこりゃ!」
が起こるところでしたね。(参照:なぜ4CC胚盤胞が赤ちゃんになるのか?をドクター『I』流に考察してみる(4)
embryonic genome activation(EGA)という現象が起こるのでした。

8細胞になる
→embryonic genome activation(EGA)が起こる
「なんじゃこりゃ!」になる
→arrestやらfragmentになる
→胚盤胞にならない(成れない)


あるいは逆に

8細胞になる
→embryonic genome activation(EGA)が起こる
→「うんうん、俺、まあまあイケてるんでない?」(←あくまで自己判断のレベル)
→分割続けちゃお!
→胚盤胞になる


というわけです。

ということは、「胚盤胞になった」ということは、embryonic genome activation(EGA)により淘汰されなかった(というか、淘汰されないだけの最低限の条件はクリアーしていた)割球(細胞)のみが残っている、という風に考えることもできそうですかね?

なるほど。
ということは、「胚盤胞培養」は「embryonic genome activation(EGA)チャレンジテスト」とも考えられなくもない。
初期胚で移植するか?胚盤胞培養をするか?というシーンがあるわけですが、なるほど、目の前の胚のembryonic genome activation(EGA)を「子宮内で過ごさせてあげるのか?(=初期胚移植)」「培養液内で過ごさせるのか?(=胚盤胞培養)」の違い、と考えてもいい。
どちらがいいのか?そのシーンシーンで変わってきそうですね。
何とかの一つ覚えで何でもかんでも胚盤胞培養!にはならないわけです。

【続く??流石にもうお腹いっぱい??www】
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プロフィール

ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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