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なぜ4CC胚盤胞が赤ちゃんになるのか?をドクター『I』流に考察してみる(11)

【今までの経緯】
【あらすじ】
さて、そういうことで、8細胞期頃までは、染色体が正常な割球と染色体異常の割球が入り乱れている場合は多々あり、そうした胚を「モザイク」というのでした。
でも、そうした「モザイク胚」でも赤ちゃんになる可能性があることがあることが知られていて、そのために、染色体異常になってしまった割球(細胞)が、「赤ちゃんになることに極力参加しない」という積極的なメカニズムが存在するのだろう、と考えられているのだ、というわけです。
で、そのメカニズムとは、
  • 染色体異常になってしまった割球(細胞)が自ら察し、「分割を停止する」なり「死ぬ」なりして、赤ちゃんになることに参加しない。
  • 染色体異常になってしまった割球(細胞)を全部TE(将来胎盤になる部分)に集め、ICM(将来赤ちゃんになる部分)は染色体正常な細胞だけを集める。
というメカニズムがあるらしい。
なるほど。
では、実臨床上に何か役立つことはないか?という視点で話を進めています。
直近「PGS(と呼ばれているもの)」に噛みついていますwww。


【以下、本日のお話し】

さて、PGSのまとめ行きます。
そんなわけで、
「TEを生検して染色体見ちゃえば、『当り』が選べるんじゃね?」
という発想のPGS(=PGT-A)は「モザイク」という問題に突き当たっているようです。

・PGSで「染色体正常」と出ても、妊娠反応(-)だったりあるいは流産したり
・「モザイク」と出たものでも赤ちゃんになったり
・果ては「染色体異常」と出たものまで赤ちゃんになったり。


「そんなに甘くはない」わけです。
なぜ、こんな混乱が起きちゃうのか?
今年のfertility and sterilityに凄くわかりやすい図が載っていますのでご紹介してみたいと思います。



ですね。
で、図の「水色」が染色体正常、「茶色」が染色体異常だそうです。



なるほど、こりゃ厳しいね。
結局、今の所、最終的には「戻してみなきゃわからない」ようですね。
なるほど。PGSの有効性がなかなか明確に示されないのも当然なわけです。

例えば、42歳、予算200万の人がいたとする。
体外1回50万、PGS1回50万
黙ってやれば、採卵4回
PGSやると採卵2回
3年後、赤ちゃんがいる確率はどっちが高い??????

42歳、卵巣予備能極めて良好。
一回の採卵で胚盤胞15個できた!
→これならいいんだろうね。多分。

こんな感じでPGS、「夢の方法!」と騒がれていますが、まだまだまだまだ「実験段階」。
誰が得して誰が損するのか?
本当はこの世に生まれ来る運命だった胚を、PGSをやっちゃったがゆえに捨ててしまった!などは論外
そんな権利は誰にも無いわな・・・・。
学術的にも倫理的にも経済的にも未知数だわな。
「原発」よりもリスキーかもしれん。
こわっ。

ご存じの通り、日本産科婦人科学会の偉い賢い先生たちが、うんうんうなって
「みんながハッピーになるように」
「損する人がいないように」

何よりも「やっちゃったがゆえに生まれてこれなかった生命がいないように」
きっと一生懸命考えてくれています。
そして、「科学」として、最適な答えを出してくれると思います。

今後、どのようにPGS(=PGT-A)が利用されていくのか?
見守りたいと思います。


おお、そうだ。
PGSの是非論に参加するつもりはありません。
その手のページからのリンクなどもご容赦下さい。
よろしくお願いします。



【続く】
(まだ終わりではないのですよ。でもそろそろ結論に近づいてきました!何せまだ「4CC胚盤胞が赤ちゃんになる考察」の前振りに過ぎませんwww)
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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