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精子形成と酸化ストレス(1)

そんなわけで、先週末、神戸で行われた生殖医学会に参加してまいりました。
その中でも印象的だったのが、男性側、すなわち精子の話題が結構盛り上がっていたことです。
「生殖機能における酸化ストレスとその対応」と題されたシンポジウムもあり、その発表の中でシンポジストの先生は
「造精機能障害には多かれ少なかれ酸化ストレスが関わっている」
と発表なさってらっしゃいました。

ちなみに、コクランでも「抗酸化剤と男性不妊」は取り上げられていていることは、本HPでもご紹介しました。えっと、の一番下です。

昨日まで読んできた、「生活習慣と不妊」の話でも、「陰嚢温度」という話がやたらと出てきたりしましたね。
精子の研究者たちは、とにかく「温度」にこだわります。

温度、酸化ストレス、造精機能、男性因子

これらのキーワードの繋がりって、多分一般の人には理解しにくいと思うんですよね。
・・・かくいう僕も完璧に理解しているのか?と問い詰められると怪しいのかも知れないのですが、これらのキーワードの繋がりが何となくでもご理解いただけるように少しお話しをしてみたいと思います。


そもそも、精子というのはご存じの通り陰嚢内の精巣で作られているわけです。
今日も明日も明後日も、毎日毎日せっせせっせと作られているわけですね。
精祖細胞→精母細胞→精子細胞→精子
という流れは、中学だか高校だかで習ったと思います。

でも実は、精液検査上正常範囲に入る人の場合でも、そもそも精子になると運命付けられた細胞の全てが精子になれているのか?というと、そうではないと考えられています。
現在のところ、精液検査上正常範囲に入る方でも、精子になると運命付けられた細胞の75%程度は細胞死によって消滅していて、実際に精子にまで成れているのは25%程度と考えられています。

よく、「膣内に射精された精子が生存競争をして・・・・」という生き残りの話を聞くと思いますが、実は精子の生存競争は、そもそも精子になる前からすでに始まっていて、射出精液に含まれている精子は、その淘汰をかいくぐってきた「ある程度選ばれた状態」になっているというわけです。

これは、もちろん精子は「生殖細胞」というその性質上、少しでも何らかの不都合が生じたときにその異常を次世代に伝達しないようにするための自然淘汰の仕組みであると考えられているわけです。

逆にいうと、精子は他の細胞に比べ、その性質上「死にやすくできている」とも言えます。
ストレス感受性が高いわけですね。

今、75%:25%で生き死にが決められている精子形成のバランスが、何らかの加減で少しだけ負のバランス、つまり80%:20%とか85%:15%とかに振れれば、それが「造精機能障害」と呼ばれる状態になるのではないか?と考えるわけです。

この精子形成を負のバランスに振る「何らかの加減」の候補が精索静脈瘤であったり、遺伝的要因であったり、あるいはタバコであったり、体重であったり、ホルモンバランスであったり、温度であったりetc etcと考えるわけです。

話あまり面白くないですかね?明日以降もう少し進めてもいいですかね?
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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