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不妊治療と先天性インプリンティング遺伝子異常(6)

ということで、今日は、「不妊治療後の小児がんのリスクが増える」としている論文を読んでみたいと思います。最初にご紹介したこちらFertility treatment and childhood cancer risk: a systematic meta-analysis.になります。で、今までお話ししてきたとおりですが、注意点として、(1)この手の内容は「増える」とする報告もあれば「変わらない」とする報告もあり、両論入り乱れています。一本の報告で一喜一憂する類のものではな...

不妊治療と先天性インプリンティング遺伝子異常(5)

で、ようやく本題。当初書いた通り、ここから先は非常にデリケートな問題だと思います。僕が書いた砕けた表現で誤解を与えてしまうといけないので、この分野の専門家の先生の論文を参照しておきたいと思います。えっと、生殖補助医療由来の先天性ゲノムインプリンティング異常症です。一ページ目の第二段落~「DNAメチル化に代表されるエピジェネティックな修飾は、・・・・、ヒトARTはインプリントが獲得される時期の配偶子を操作...

不妊治療と先天性インプリンティング遺伝子異常(4)

ということで復習すると、両親からもらった遺伝子のうち、特定の親由来のもののみが活性化し、他方の親由来のものは不活化されている遺伝子をまとめてインプリント遺伝子と呼ぶのでした。では、ここで、父親由来の遺伝子(図の青)が活性化して、母親由来の遺伝子(図の赤)は不活化しているインプリント遺伝子αを想定してみましょう。こんな感じですね。父親由来の青は「読んで!」、母親由来の赤は「読まないで!」となっている...

不妊治療と先天性インプリンティング遺伝子異常(3)

続き。中学生の頃を思い出して、メンデルの法則を復習してみましょう。例は血液型。A型のお父さんとB型のお母さんからAB型の子供が生まれた場合を考えます。ABOの血液型を決定する遺伝子は9番染色体上にあります。ご存じの通り、染色体は2本ずつ1組ありますね。1本は父親から、もう一本は母親からもらっています。このAB型の子供のの9番染色体上のABO血液型を決定する遺伝子はこうなっている筈です。青は父親からもらった9番染色体...

不妊治療と先天性インプリンティング遺伝子異常(2)

【インプリント遺伝子】ではまず、「インプリント遺伝子」というのを理解したいと思います。以下解説では、用語を理解しやすくするために多少砕けた表現をしますので、正確な定義とは異なる可能性がある点をご理解ください。そもそものきっかけとなった実験があります。この実験は、産婦人科の世界では超有名です。卵子と精子が受精した後(精子が卵子に侵入した後)、前核というものが形成されます。精子は精子が持ち込んだ遺伝子...

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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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