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なぜ4CC胚盤胞が赤ちゃんになるのか?をドクター『I』流に考察してみる(15):【多分最終回】

【今までの経緯】
【あらすじ】
初期胚はむろん例え胚盤胞であっても、その胚の全ての細胞が「染色体正常な細胞のみ」から構成されているケースは少数派で、むしろ多くの胚は「染色体正常な細胞と染色体異常の細胞が入り乱れた状態」で構成されていると考えられていて(その(3)その(6))、染色体異常の細胞はその後ちゃんと処理されて最終的には赤ちゃんになるのに参加しないという、「自然てすげぇ!」というメカニズムが備わっているらしいのでした(その(12))。

「出来上がった胚盤胞の染色体を先に調べて、染色体正常と出た胚のみを戻そう!」という方法(PGS、最近ではPGT-Aとよ呼ぶのが普通)があり、何やら『当り』を見定められそうな『夢』の方法のように感じてしまうのですが、どうやらこの方法、この「モザイク」という現象によりかなり暗雲が立ち込めまくっている状況にあるのでした(その(9)その(10)その(11)

【以下、本日のお話し】
さあ、いよいよ題名の「なぜ4CC胚盤胞が赤ちゃんになるのか?を考察してみる」にたどり着きましたwww。
ま、あくまでもドクター『I』流ですので、便所の落書きレベルでお付き合いください
ま、理屈は初期胚と同じですわな。

えっと、ここに4AAの胚盤胞があったとします。



でも、胚盤胞のモザイクも余裕でありうるわけでした。
同じように染色体正常な細胞を青、異常な細胞を赤で示してみます。
えっと、ここでは1/3が正常で作ってみました。



染色体異常の細胞はここで壊れてもらったとしましょう。



ということで、理論的には、この青い細胞があれば十分赤ちゃんになるわけです。
ま、形を胚盤胞の形にしてみたいと思います。



色を戻してみると・・・



おお。4CCができた!
まあ、どこまで信憑性があるのか?は保証しませんがwwww


以上、我々が観察できるレベルの「胚」は生まれ来る赤ちゃんの「極めて初期のごくごくごくごく一時期」に過ぎないわけです。
そしてこの「極めて初期のごくごくごくごく一時期」は、何と染色体にエラーがある割球(細胞)が混じっていても「そんなのへっちゃら」なスゲー自然のメカニズムがどうやら備わっているようです。
そしてそれは、見てくれのグレードどころか、どうやらPGS(=PGT-A)ですら簡単には寄せ付けない、それはそれは壮大な壮大なメカニズムのようです。

「見てくれのグレード」「タイムラプス」そして「PGS(=PGT-A)」・・・
みんな頑張っているけど、所詮「B29に向かって竹槍で『えい、えい、やあ!』とやっている」ように感じるのは僕だけでしょうか?
(まあ、でもそれが「科学」という学問なのでしょう。)

ま、あんまり「竹槍」を過信し過ぎないように。
結局は「戻して赤ちゃんになったものが正解」なわけで。
最後の最後は「戻してみないとわからない」わけで。
自然は想像を絶する壮大さです。
浅はかな知恵で「本当は生まれ来た筈の生命」を闇に葬ることだけは絶対に避けたいものです。
その為の「エビデンス」なのでしょうから。

では、このシリーズ、多分おしまい。
(また何か追加情報があったら再開するかもです。)

第38回東京生殖医療懇談会にいざ出陣

昨日5/31(木)は、日赤当直明け→クリニック診療後、こんな勉強会に参加してきました。



内容は今話題の「慢性子宮内膜炎」について。
この分野でトップを走ってらっしゃる滋賀医科大学の木村先生のご講演とのことで、楽しみにしておりました。
で、聞いてきました。
詳細はまた後日解説しますが、
「慢性子宮内膜炎」という病態はあることはあるのだろう。でもまだわからないことだらけ。「抗生剤飲めばいい」とかっていう甘ちゃんなものではない。
ということでした。
良くわかっていないということが良くわかった、非常に勉強になった会でした。

そして、会では木場時代の先輩、竹内先生と超久々にお会いいたしましたwww。



竹内先生は、かのICSIの開発者、Palermo先生と一緒にニューヨークで胚培養士をしていた先生で、当時のニューヨーク・コーネル大学のICSIはほぼすべて竹内先生がやっていたという超偉人です。
木場時代は色々教えてもらいつつ、遊びつつwwww、懐かしかったです。
(何てったって世界の竹内が、ハンコ押しwww・・・オッと、この辺でやめておこっと。)

そんなわけで勉強になり、楽しくもあった会でした。

さあ、気分一新、週末に向けもうひと頑張り!

なぜ4CC胚盤胞が赤ちゃんになるのか?をドクター『I』流に考察してみる(14)

【今までの経緯】
【あらすじ】
初期胚はむろん例え胚盤胞であっても、その胚の全ての細胞が「染色体正常な細胞のみ」から構成されているケースは少数派で、むしろ多くの胚は「染色体正常な細胞と染色体異常の細胞が入り乱れた状態」で構成されていると考えられていて(その(3)その(6))、染色体異常の細胞はその後ちゃんと処理されて最終的には赤ちゃんになるのに参加しないという、「自然てすげぇ!」というメカニズムが備わっているらしいのでした(その(12))。

「出来上がった胚盤胞の染色体を先に調べて、染色体正常と出た胚のみを戻そう!」という方法(PGS、最近ではPGT-Aとよ呼ぶのが普通)があり、何やら『当り』を見定められそうな『夢』の方法のように感じてしまうのですが、どうやらこの方法、この「モザイク」という現象によりかなり暗雲が立ち込めまくっている状況にあるのでした(その(9)その(10)その(11)

【以下、本日のお話し】
さて、このシリーズ、2017年10月20日に書き始めております。
7か月以上が経過してしまいました(!!www)
その(1)ではこんなことを書いております。

・・・所がどっこい、日常診療をやっていると、ビックリするような「形態不良胚」で妊娠反応が陽性に出ることは日常茶飯事なわけです。
4CCとか5CCとかでも、割と普通に妊娠する。
初期胚でも8細胞Grade4とか、「フラグメントだらけ」なのに、普通に妊娠する。

そしてハラハラしながら妊娠経過を見ていくわけですが、普通にスクスク育っていく。

一方で5AAとか4AAとかでもカスりもしないことも多々あるわけです。

「何じゃこりゃ?形態分類なんて全く当てにならねーじゃねーか。」

そうなんですね。
まあ、「全く」は言い過ぎかもしれません。
形態良好胚ほど赤ちゃんになりやすい「傾向」位はありそうですが。
・・・・・
今回は、こうした『ビックリするような形態不良胚』なのに何で着床し、赤ちゃんになるのか?をドクター『I』流に考察してみたいと思います。


では、7か月間、お待たせいたしました(←別に誰も待っていない orz いいさ、いいさ、自己満足さwww)
ということで、この現象に対する個人的な考察、行ってみよ!
注:合っているのかどうかは責任持ちません。所詮「便所の落書き」レベルですのでマジレスしないようにwww



さ、ここに3日目8細胞期の胚があるとします。



奇麗ですが、そんなわけで実際にはこの8個の割球全ての染色体が正常に整っていることは稀で、染色体正常な割球と異常な割球が入り乱れているのでした。
下の図では、青が染色体正常、赤が染色体異常だとしましょう。
その(12)の如く(←これはあくまでマウスですが)8個中2個染色体正常であればこの世に生を受ける可能性があるのでしたね。)



ということは、この赤の5個は胚発生のどこかで壊れるなり死ぬなり(あるいは胎盤になるなり)して赤ちゃんになることに参加しないようになるのでした。
じゃ、今、赤、壊してみましょ。
これでもいい筈ですわな。



もちろん染色体が正常か異常かは色ついて見えるわけでは無いわけです。
色を元に戻してみましょう。



おお、8細胞グレード4ができたぞ。
これ、そんなわけで赤ちゃんになっても不思議ではないわけです。

ね?胚の『見てくれ』が悪くても、たった2-3個の細胞さえ良ければいいわけですよ。
なるほどいわゆる「グレード」なんて何の役にも立たないわけです。
「グレード」で云々するのバカバカしくなってきたでしょ?

胚盤胞の絵要ります???www
次回、(すっごい時間が出来たら)胚盤胞で同じ絵、作ってみますねwww
(結構面倒臭いのよ)

【続く】

なぜ4CC胚盤胞が赤ちゃんになるのか?をドクター『I』流に考察してみる(13)

【今までの経緯】
【あらすじ】
初期胚はむろん例え胚盤胞であっても、その胚の全ての細胞が「染色体正常な細胞のみ」から構成されているケースは少数派で、むしろ多くの胚は「染色体正常な細胞と染色体異常の細胞が入り乱れた状態」で構成されていると考えられていて(その(3)その(6))、染色体異常の細胞はその後ちゃんと処理されて最終的には赤ちゃんになるのに参加しないという、「自然てすげぇ!」というメカニズムが備わっているらしいのでした(その(12))。

「出来上がった胚盤胞の染色体を先に調べて、染色体正常と出た胚のみを戻そう!」という方法(PGS、最近ではPGT-Aとよ呼ぶのが普通)があり、何やら『当り』を見定められそうな『夢』の方法のように感じてしまうのですが、どうやらこの方法、この「モザイク」という現象によりかなり暗雲が立ち込めまくっている状況にあるのでした(その(9)その(10)その(11)

【以下、本日のお話し】
はいっ。このシリーズ、超久々の更新になります!
ドクター『I』の『ヤル気』が出るまでに、とっくにアメリカ生殖医学会が「PGS終了のお知らせ」を出してしまいました
(いや、頑張って生きているつもりではありますが。あ、「終了のお知らせ」は言い過ぎかもですwww。ま、「そんなに甘くねーよボケが。PGSやっちゃったがゆえに生まれてこなくなってしまった命、いっぱいいるぞ!どう責任とるんじゃ?わかったか?お前ら。今の所止めとけ。」とは書いてあります。何でもやりゃぁいいってもんでもない。ちゃんと科学的根拠に従おうぜ!そういう意味で日本産科婦人科学会は素晴らしかったですね。)

はい、では本日は復習になります。
そんなわけで(その(3)その(6))、今では、胚の全ての細胞が「染色体正常な細胞のみ」から構成されているケースは少数派で、むしろ多くの胚は「染色体正常な細胞と染色体異常の細胞が入り乱れた状態」で構成されていると考えられているわけです。
この事実が明らかになりつつあった時代に、面白い題名の論文があります。
2009年のNature Medicineという超名門雑誌にこんな図と共に載っています。



8細胞期の初期胚の割球の内、染色体が正常なのはたった3つしかなかったよ、という図なわけです。
この表題が、なんと「カオス!」


  • 何だよ!まじかよ!Vanneste先生が言うには、IVFで得られた胚の内、割球全部が染色体正常なのはたった9%しか無えってよ!
  • 一方で70%方は生まれ来えないような染色体異常の割球があったってぇよ!
  • で、こっから染色体正常の細胞がガンガン増えて行って、染色体異常の細胞の比率がどんどん下がって行くってぇメカニズムだ!
  • 「体外培養だから」ってな理由があるのかも知れねえが、いやいや、おそらく初期の人間の胚にはこういうフェーズがそもそもあるんだろうなぁ。

このたまげっぷりを
「カオス」
と表現しているわけです。

というわけで本日は復習でした。
僕らが普段扱っている「胚」、全部が染色体正常細胞のみから成り立っているのではない。
いやいや、むしろ、染色体異常細胞の割合の方が多くたって何ら不思議ではない
その(12))というわけでした。

さあ、このシリーズ、いよいよクライマックスへ。
何で8細胞グレード5が赤ちゃんになるのか?4CCが赤ちゃんになるのか?
見てくれなんて何の役にも立たないのか?
ドクター『I』流の答えはこれだ!

【続く?】~気長にお付き合いを!www

勉強するぞ!(7)

【プロゲスチンの世代分類】

第四世代

第三世代までは「アップデート」で合成されてきたが、第四世代(と呼ばれるもの)は全く別の方面からアプローチしてきた。

ドロスピレノン・・・スピロノラクトン(アルドステロン拮抗剤、K保持性利尿薬)より合成されてきた。
プロゲステロン活性は第一世代と同程度だが、アンドロゲン活性が無い(抗アンドロゲン作用がある)。
スピロノラクトンの抗アルドステロン作用がそのまま残っている。
利尿作用→(良)「むくまない」「血圧高めに向いている」 (悪)「血栓どうなの??」

ドロスピレノン含有のLEP=PMDDに有効(日本では適応外)
5〜8 割の女性が PMS を有すると考えられているが、その大部分は軽症で医学的対応を要しない。
中等症以上の PMS および PMDD では薬物治療などの対応が必要である。
現在PMDD の薬物療法で有効とされているのは選択的セロトニン受容体阻害薬(SSRI)とドロスピレノン含有LEP

ジェノゲスト・・・ノルエチステロンの類似化合物、17位のエチリル基をはずしシアのメチル基を導入することで、アンドロゲン活性が無くなった。

Appendix

プロフィール

ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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